本格的な台風シーズンに備えて“屋上防水”も見直しましょう
台風に強い防水工法は?
これから本格的な台風シーズンをむかえますが、そこで気になるのが雨漏りです。
晴天の続くシーズンにはあまり意識しませんが、梅雨から台風シーズンにかけては、どうしても劣化が進んでいる場所から雨が入ってしまう可能性は決して低くありません。
そこで、今回は台風に強い屋上防水について紹介します。よくあるトラブル例から屋上防水を台風から守るポイントまで解説しますので、是非一度ご自宅や所有不動産の防水を見直してみてください。
●本格的な台風時期に備えて、早めの点検をしましょう。
●無理のない範囲で、定期的なセルフチェックを行うのもおすすめです。
Contents
台風によって受ける被害は屋根だけじゃない?
台風被害というと、皆さんは何を想像しますか?
屋根材の飛散や破損、窓ガラスの破損などの損傷をイメージする人が多いでしょう。
また、「台風に強い建物」=「構造や屋根が丈夫」という点に着目されがちです。
しかし、実は屋上防水の工法にも台風に強い・弱いがあります。
万が一台風で防水層にダメージを受けてしまえば、雨漏りに直結して室内までも被害が拡大してしまいます。
そのため、日頃のメンテナンスや定期点検はもちろん、それに加えて台風に強い防水工法を選ぶことも重要です。
戸建住宅よりもマンションやビルは影響が大きい!
「マンションやビルは構造が丈夫だから台風が来ても安心」と誤解する方も多いですが、実は一戸建てと比べても台風の影響は決して少なくはありません。
建築基準法(平成12年改正前)では、建物にかかる風圧を以下のような式で求めることが定められていました。
風圧(kg /㎡)= 60 × √H(建物の高さ) ※建物の高さが16m以下の場合
つまり、二階の窓(地面から高さ5mほどの場所)には、1㎡あたり約135kgもの風圧がかかる計算になります。
現在は建築基準法上ではさらに複雑な数式で建物にかかる風圧を計算しますが、どちらにして建物が高くなればなるほど、台風時に大きな力がかかってしまうのです。
また、ビルが密集しているエリアですと、ビル風が発生して、さらに強い風圧にさらされます。
ですから、高層ビルはもちろんのこと、中低層ビルやマンションにおいても、風の被害に対する備えをしておかなくてはいけません。
屋上防水も要注意!台風によって起こる防水トラブル
では、台風が来た際に屋上防水にはどのような被害が出るのでしょうか?
ここでは主な被害例を3つ紹介します。
その① 設置物が転倒して防水層を傷つける
屋上には、テレビアンテナや物干し台、椅子・テーブルなど、さまざまなものが置かれている場合も少なくありません。
台風シーズン前には、それらを室内へ移動したり、しっかりとフェンスなどに固定しておきましょう。
また、比較的風の影響が少ない塔屋(屋上にある階段室や機械室など)の壁際に設置物を置くこともおすすめです。
地上ではそれほどの風速でなくても、屋上では強風になっている可能性も否めません。
設置物が転倒すると、防水層を傷つけるだけではなく、最悪の場合近隣へ飛散して大事故になってしまう恐れもあります。
屋上に何かを置く場合には、風対策を徹底するようにしてください。
その② 風圧によって防水材が剥がれる
坊水層の劣化が進んでしまい下地との密着力が落ちていると、耐風圧も落ちて風に煽られ剥がれてしまう可能性があります。
コンクリート躯体が露出して雨漏りを引き起こすだけではなく、近隣へ迷惑をかけてしまうかもしれません。
梅雨や台風シーズンの前には、防水シートなどが剥がれかかっていないかどうかを十分チェックしてください。
その③ 排水口が詰まって水捌けが悪くなる
ドレン廻りの排水溝や排水口に、ゴミや落ち葉が溜まっていると、雨水が正常に樋へと流れ落ちずに水溜まりになります。
すると、防水層の端部に負担がかかって劣化が早まり、脆弱部から水が侵入して、防水層の寿命を全うできません。
定期的な清掃を心がけ、落ち葉によるドレン詰まりを防ぐためのドレンカバーを設置してみましょう。
また、雨の日に平場に水溜りができていないかを確認し、定期的な防水改修を行うことも必須です。
屋上緑化の場合は“負圧”に要注意
環境的観点から屋上緑化を採用している建物が増えてきていますが、その場合にも台風が来た際には注意が必要です。
建物の外壁に直行した強風が当たると、その外壁の裏側(屋上のパラペット裏など)には、防水層を吸い上げるような“負圧”が発生します。
屋上緑化は、建物の積載荷重の上限内に抑えるために軽量化されているため、この負圧によって基盤ごと吹き飛ばされる危険性があります。
特に中木以上の樹木を植えている場合は、フェンスに固定するなどの対策を取りましょう。
強風がよく吹くエリアでは、芝などの地被植物や低木を選ぶのがおすすめです。
近隣への被害や雨漏りを防ぐためにも、屋上緑化をする際はこの負圧について施工会社へ十分に確認してください。
〈関連コラム〉
下記コラムでは、屋上緑化について詳しく解説しています。是非併せてご覧ください。
関東防水管理協同組合|コラム|屋上緑化で室内環境が向上する?そのメリット・注意点やおすすめの工法を解説
台風から屋上防水を守るためのポイントは?
屋上防水と言っても、管理方法や施工方法によって台風に耐えられない場合もあります。
では、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか?
ここでは主なポイントを3つ紹介します。
ポイント① 定期点検・定期メンテナンスは必須
まず、防水層が劣化していると、通常よりも大量の雨が降り風圧もかかる台風時には耐えきれない可能性が高いです。
そのため、梅雨前には毎年屋上防水の状態を専門家に点検してもらいましょう。
前回のメンテナンスからかなり年数が経っている場合には、雨季の前にそれなりの処置ができるように、早めの点検を検討してください。
ポイント② 飛散しそうなものは移動・固定する
テレビアンテナや樹木など、風で簡単に転倒・飛散する可能性があるものは、フェンスなどしっかりと躯体に固定されているものにしっかりと留めてください。
フェンスが錆びて脆くなっていないかや、取り付け金具が緩んでいないかも確認が必要です。
プランターや椅子などは、室内にしまっておくことをおすすめします。
ポイント③ 耐風圧に強い防水工法への改修
ウレタン塗膜防水の場合は、塗膜が躯体に密着して防水層の役目を果たしているため、強風にも耐えられますが、耐用年数が短く頻繁に塗り替えなどのメンテナンスをしなくてはいけません。
アスファルト防水やシート防水の場合は、劣化が進んで躯体への密着性が落ちたところから、風に煽られて浮いたり剥がれたりしてしまいます。
そのため、できるだけ耐風圧の高い工法を選びましょう。
そして、劣化を早めに見つけるためにも定期点検は欠かせません。
高い粘着性で台風に強い“GUMCOOL ガムクール”
改質アスファルトシート防水常温粘着工法「ガムクール」は、改質アスファルトと粘着技術で、複雑化する屋上防水の要請に応えます。 新築・改修を問わない守備範囲の広さは、アスファルトの伝統を受け継いだガムクールの大きな特長です。
引用:田島ルーフィング株式会社|ガムクール
ガムクールは、新築の躯体はもちろんのこと、既存防水層の上に施工しても、高い固定強度と耐風圧性能を発揮します。
また、屋上防水層に断熱材を入れる場合も強く密着するため、台風の際にも安心です。
下記工法について建築基準法に基づいた耐力試験も行なっているため、ご自宅はもちろんテナントビルや集合住宅にも安心して採用いただけます。
- シート防水(機械固定工法)
- 塗膜防水
- アスファルト防水
複数の工法に併用できるため、施工場所を選びません。
台風に強い屋上防止を目指したい方は、是非施工会社へお問い合わせください。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。
まとめ|屋上防水も台風シーズンに向けて備えましょう
台風は住宅の屋根や窓ガラスなどだけではなく、屋上防水にも被害をもたらします。
台風は雨漏りの原因になるだけではなく、近隣の建物や通行人にも被害をもたらす可能性もあるため、建物の所有者として適切な処置を取らなくてはいけません。
「台風が近づいてから対応すればいい」「うちは大規模修繕工事をしたばかりだから心配ない」と安心していてはとても危険です。
本格的な台風シーズンが来る前に、一度屋上防水の状態を確認しておきましょう。
私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。