屋上防水も“脱炭素化”がキーワード
カーボンニュートラルに向けてできることは?

カーボンニュートラル

毎日、テレビや新聞を賑やかしている「脱炭素化」ですが、皆さんはどのようなイメージを持たれていますか?

節電やゴミの削減など、私たちの生活に密着した改善点がいくつもありますが、実は屋上防水においても環境問題対策としてできることがいくつもあります。

そこで、今回は「脱炭素化」に向けて屋上防水工事でできることについてお話しします。ご自宅や所有不動産の屋上防水を見直す際には、是非環境についても考えてみてください。

このコラムのポイント
●屋上防水工事に関しても、工法選びや業者選びで二酸化炭素削減に寄与できます。
●屋上防水工事の材料について、クリーン購入法の認定を受けているかに否かも選定ポイントになります。
●関防協は、防水のエキスパート集団です。




「脱炭素化」とは?建築でできることはある?

環境

“脱炭素化”というキーワードは、さまざまな分野で取り組みがされているため、日常的に耳にすることが多い言葉でしょう。

しかし、まだまだ漠然としたイメージしか持っていない方も多いのが現実です。

“脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのうちの一つ「二酸化炭素」の排出量をゼロに近づける取り組みのことを言います。

ただし、排出量をゼロにすることはとても難しいため、日本政府は排出した分を吸収し“プラスマイナス・ゼロ”にすることを目標として掲げています。

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。※人為的なもの

カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があります。

引用:環境省|カーボンニュートラル
引用:環境省|カーボンニュートラル


残念ながら、「建築」は資材の生産から運搬、施工、解体において、未だ多くの二酸化炭素を排出してしまっています。

特に、集合住宅や低中層ビルの主たる構法であるRC造(鉄筋コンクリート造)で住宅1棟を建てると、およそ92,000kgもの二酸化炭素を排出する計算になります。

引用:ウッドマイルズ研究会|建設時における木造住宅の二酸化炭素排出量

しかし、地震大国である日本においては、そもそもの構造を変えることは難しいため、内外装工事などで少しでも二酸化炭素の排出量が少ない方法を選択することが求められます。

また、今までのスクラップ・アンド・ビルドの考え方ではなく、建物をきちんとメンテナンスしながら長く使い続けることを実行することも求められます。



施主・施工者の意識によってCO2排出量は減らせる?私たちにできることは?

雨漏り診断

建築には多くのエネルギーを使いますが、防水工事についても同様で、材料の生産過程や施工過程において多くの二酸化炭素を排出しています。

最近では、防水材のリサイクル方法として、製造時に生じる製品屑のサーマルリサイクルを実行するケースも増え、排出量を減らす試みと併せて再生エネルギーの研究を進める会社は決して少なくありません。

サーマルリサイクルとは、アスファルト系のルーフィング類を、製紙メーカーや畑のビニールハウス、石膏ボードメーカーのボイラー用の燃料となるRPF(廃棄物固形燃料)」に加工することで、石炭代替燃料として再利用するというものです。

引用:田島ルーフィング|環境情報


建物を維持するために欠かせない防水工事ですが、施主・施工者が少しでも環境に向けることで、脱炭素化に貢献することができることが分かってきており、施工会社任せではなく施主の皆さんも高い意識を持つことが求められています。

では、具体的には私たちはどのようなポイントを踏まえれば良いのでしょうか。

ここでは主なポイントを4つ紹介します。

ポイント① 建物の長寿命化

建物の解体時には建築時のおよそ5〜10%ほどのCO2を排出します。

改修時にももちろんそれなりの量のCO2を排出しますが、解体→建設を想定すると、その比ではありません。

第4回日本LCA学会研究発表会講演要旨集|「住宅の建設・改修・解体に起因するCO2排出量の2050年までの推移」内データを元に作成)

つまり、建物を改修しながら使い続ける方が、ライフサイクルCO2(LCCO2)を削減できるのです。

そのため、近年は国を上げて建物の“長寿命化”を推奨しており、寿命を延ばすための新たな改修方法も次々と生み出されています。

長寿命化する上で大きな役割を果たすのが、屋上防水です。

躯体を水から守ることで、確実に劣化を防ぐことができます。

具体的には、次のことをすることで防水層の寿命を延ばせます。

  • 中長期保全計画を立てる
  • 定期点検や補修を徹底する
  • 耐久性の高い工法を取り入れる

〈関連コラム〉
下記コラムでは、建物の長寿命化について詳しく解説しています。

関東防水管理事業協同組合|コラム|建物の“長寿命化”や“サスティナブル建築”とは?環境に寄与できる屋上防水工事のあり方について解説
関東防水管理事業協同組合|コラム|これからの建物は“長寿命化”がカギに。ポイントから対策方法まで徹底解説


ポイント② 建物の高断熱・高遮熱化

防水層の耐久性を高めることと併せて、断熱材を入れることで建物の空調負荷を軽減することができます。

エアコンなどの空調機器を使用する機会が減ると、その分電気の使用量も少なくなり、結果的に脱炭素化へ貢献できるのです。

具体的には、高日射反射率防水塗料は使ったり、防水層に断熱材を接着させる方法があり、構造や屋上の形状、既存防水層との相性などを踏まえて、適した構法を選びましょう。

断熱材と高反射塗料の両方を併用すれば、断熱性・遮熱性が高まるだけではなく、防水層そのものの延命にもつながります。

引用:田島ルーフィング|サーモコントロール断熱


〈関連コラム〉
下記コラムでは屋上断熱について詳しく解説しています。

関東防水管理事業協同組合|コラム|省エネ住宅にこそ屋上断熱が必要 外断熱のメリットや注意点を徹底解説


ポイント③ 屋上緑化の導入

二酸化炭素の排出量を減らすことはもちろん重要ですが、併せて吸収量を増やすための取り組みもカーボンニュートラルに近づけるためには大切なポイントです。

屋上緑化で樹木を少しでも増やすことで、二酸化炭素の吸収量を増やすことができます。

ただし、きちんとした防水処理をしなければ、雨漏りの原因となるため、必ず専門家に相談してから屋上緑化を取り入れましょう。

〈関連コラム〉
下記コラムでは、屋上緑化について詳しく解説しています。

関東防水管理事業協同組合|コラム|屋上緑化で室内環境が向上する?そのメリット・注意点やおすすめの工法を解説

ポイント太陽光発電に適した屋上防水に

屋上にソーラーパネルを設置する太陽光発電は、最も身近で気軽に取り組める自然エネルギー利用です。

しかし、パネル架台を設置する際に防水層を傷つけてしまったり、パネルを設置したことで屋上防水のメンテナンスが行き届かなくなって、雨漏りの原因となるケースは後を絶ちません。

ですから、必ずソーラーパネル設置に適した防水工法を採用し、再生エネルギーを使い続けながらも建物を正常な状態で保てるようにしましょう。

〈関連コラム〉
下記コラムでは、ソーラーパネルと防水の関係性について詳しく解説しています。

関東防水管理事業協同組合|コラム|屋上ソーラーパネルで防水トラブルに!問題の原因と対策・おすすめの工法を解説

防水材を選ぶときは “グリーン購入法適合商品” を選びましょう

世界中で地球温暖化を防ぐための動きが活発化し始めた2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(通称:グリーン購入法)」が制定されました。

消費者側が自ら率先して環境にやさしい商品を購入することができるようにするに、22分野285品目(2022年2月時点)の認定商品を検索できるようになりました。

さまざまな商品についている“エコマーク”付き商品も、このグリーン購入法に適合しています。

エコマークは、様々な商品(製品およびサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。このマークを活用して、消費者のみなさんが環境を意識した商品選択を行ったり、関係企業の環境改善努力を進めていくことにより、持続可能な社会の形成をはかっていくことを目的としています。

引用:公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局

〈関連ページ〉
下記ページでは、グリーン購入法の認定基準法などの詳細が掲載されています。併せてご覧ください。

グリーン購入法.net|基本方針


防水材については特定調達品目名・公共工事の資材として「高日射反射率防水」「断熱材」「屋上緑化」の製品が認定されています。

認定条件は以下のとおりです。

高日射反射率防水

近赤外域における日射反射率が 50.0%以上であること。

断熱材

建築物の外壁等を通しての熱の損失を防止するものであって、次の要件を満たすものとする。

  1. オゾン層を破壊する物質が使用されていないこと。
  2. ハイドロフルオロカーボンが使用されていないこと。
  3. 再生資源を使用しているか又は使用後に再生資源として使用できること。

屋上緑化

  1. 植物の健全な生育及び生育基盤を有するものであること。
  2. ヒートアイランド現象の緩和等都市環境改善効果を有するものであること。

これらは決して公共工事だけに使われるものではなく、集合住宅やテナントビルにも採用することができます。

積極的に認定商品を取り入れることで、環境問題対策に寄与することができるのです。



関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。

当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます




まとめ|屋上防水のメンテナンス時も“脱炭素化”を意識しましょう

脱炭素化は、いまや遠い未来のために取り組む課題ではなく、近い将来私たちの生活に大きな影響を与えかねない問題です。

ひとりひとりができることは限られていますが、その積み重ねがとても重要であり大きな意義を持ちます。

特に、建築に関しては多くの建物が長寿命化や高断熱化を実行することで、確実に二酸化炭素排出量を減らすことができるでしょう。

是非、防水改修をする際には環境問題についても併せて考えてみてください。


私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。



運営者情報

関東防水管理事業協同組合事務局

関東防水管理事業協同組合事務局

建設防水業界トップシェアの田島ルーフィングが主催する、改修工事に特化した工事店ネットワーク。
日々進化する防水工法や現場のニーズに合わせた最適な対応を行うため、施工技術者の育成にも取り組んでいます。
当サイトでは、マンションなどの一般住宅から店舗、大型ビルなど、さまざまな現場を見てきた防水のプロが豊富な知識と経験を活かして防水工事についてわかりやすく解説します。

主な資格
建築士 コンクリート診断士 宅地建物取引士 防水改修調査員

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