アスファルト防水とシート防水の違いとは?それぞれの防水が向いているケースや工法別の特徴を解説
マンションの防水改修工事を検討されている皆様の中には、アスファルト防水とシート防水の違いについてお悩みの方も多いのではないでしょうか。
既存の防水層を見分ける方法や、それぞれの工法が向いているケース、メリット・デメリットを理解することで、より適切な選択が可能になります。
本記事では、アスファルト防水とシート防水の特徴、種類、工法について詳しく解説します。
露出防水や保護コンクリート仕上げ、改質アスファルトシートなどの選択肢や、それぞれの施工方法も紹介しますので、大切な資産価値を長期的に守るための参考にしてください。
・アスファルト防水は耐久性に優れ、シート防水は工期が短く比較的低コストという特徴があります。
・建物の条件や予算、メンテナンス計画を考慮して最適な防水工法を選びましょう。
Contents
アスファルト防水とシート防水の見分け方
マンションやビルの屋上防水を検討する際、まず現状の防水層がどの工法かを見分けることが大切です。
黒色の防水層の表面を砕石砂で仕上げられているのがアスファルト防水の特徴です。
アスファルト防水は触ると固く、やや硬質な印象を受けます。
シート防水はゴム系または塩ビ系の材料で製造されています。
シートの表面は比較的滑らかで均一な質感です。
アスファルト防水とシート防水は、いずれも工場で作られた定形の防水材料を現場で施工します。
シートの幅は1m前後で長さが10〜20m程度の寸法であり、これを規定の重ね(ジョイント)幅で貼り重ねながら下地に施工していきます。
アスファルト防水が向いているケース
アスファルト防水は高い耐久性が特徴の伝統的な防水工法です。
長年にわたって信頼されてきた工法で、その高い耐久性から以下のような状況で特に効果を発揮します。
- 建物の長期的な資産価値を維持したい建物
適切な施工技術で仕上げれば、工法によって19〜38年という長期間にわたって防水性能を維持できます。
- 確実な防水性能が求められる建物
マンションや商業施設など、万が一の雨漏りが深刻な被害につながる建物に適しています。
- 屋上を積極的に活用する建物
アスファルト防水は一定の耐荷重性を備えているため、屋上庭園や屋上駐車場といった人や物の負荷がかかる環境でも安心して利用できます。
特に重い設備を設置する際には、アスファルト防水・保護コンクリート仕上げがおすすめです。
アスファルト防水・保護コンクリート仕上げについてこちらで解説しています。
アスファルト防水のメリット・デメリット
【メリット】
- 耐久性が高い:複数の層を重ねて施工するため強度が高く、紫外線や雨水による劣化にも強い。
- 雨漏りリスクを低減できる:防水層が破れにくく、一体化した防水層を形成できる。
【デメリット】
- 施工に時間がかかる:複数のアスファルトシートを重ねる必要があり、工程数が多くなる。
- 他の工法よりもコストが高くなる:施工には専門技術が必要で、シート防水との比較ではコストが高くなる。
アスファルト防水は各種工法(熱工法・トーチ工法・常温粘着工法)によっても価格が異なるため、複数の専門業者から見積もりをとるのがおすすめです。
見積もりの見方について、こちらで解説しています。
アスファルト防水の種類
アスファルト防水の種類は、主に以下の3種類です。
- 露出砂付き仕上げ
- 保護コンクリート仕上げ
- 改質アスファルトシート防水
順番にご紹介します。
露出砂付き仕上げ
露出砂付き仕上げは、アスファルト防水層の上に保護コンクリートを設けず、防水層自体が直接外気や紫外線にさらされる工法です。
軽量なので建物への負担も少なく、防水層の改修に適しています。
また、表面に遮熱塗料を塗ることで、紫外線による劣化を遅らせることも可能です。
屋上の遮熱工事で建物を快適にする方法について、こちらで解説しています。
保護コンクリート仕上げ
保護コンクリート仕上げは、新築時に採用される工法であり、防水層の上にコンクリートを施工して保護する工法です。
耐久性に優れ、防水層がコンクリートで保護されるため物理的損傷や紫外線劣化を防げます。
26〜38年以上の耐用年数が期待でき、人の歩行や設備機器の設置にも適しています。
改質アスファルトシート防水
改質アスファルトシート防水は、アスファルトに合成ゴムや樹脂を添加して性能を高めたシート状の防水材を使用する工法です。
通常のアスファルト防水と比べて低温時の柔軟性や耐久性が向上しており、気温変化による影響を受けにくいという特徴があります。
アスファルト防水の工法
アスファルト防水の工法は「常温工法」「トーチ工法」「熱工法」の3つに分かれています。
常温工法
常温工法は、常温で施工できる改質アスファルトシートを使用します。
火気を使用しないため、火災のリスクがなく安全性が高いのがメリットです。
また、施工時の臭いも抑えられるため、使用中の建物でも安心です。
トーチ工法
トーチ工法は、改質アスファルトシート裏面にあらかじめコーティングされたアスファルトを、バーナーで加熱しながら接着していく工法です。
低温時にも施工可能で、季節を問わず工事ができます。
熱工法
熱工法は、アスファルトを含浸・被覆したルーフィングシートを現場で溶融したアスファルトで張り重ねて防水層を形成する伝統的な工法で、高い防水性能と耐久性があります。
複数層を重ねることで強固な防水層を形成でき、信頼性の高い工法として長く採用されています。
シート防水が向いているケース
シート防水は工場で製造されたシート材を現場で敷設する、施工性に優れた防水工法です。
以下のようなケースに適しています。
- 短期間での施工が求められる建物
シート防水は施工が比較的速いため、使用中の建物の改修や、早期に工事を完了させたい場合に適しています。
- コスト効率を重視する建物
アスファルト防水と比較して一般的に施工コストが抑えられるため、予算の制約がある場合に選ばれることが多いです。
シート防水のメリット・デメリット
【メリット】
- 施工が速い:アスファルト防水に比べて工期が短縮できるので、建物の使用への影響を少なく抑えられる。
- 環境に優しい:火気を使わない工法のため、臭いも少なく環境への負荷を抑えられます。
【デメリット】
- 突起物や複雑な形状への対応がやや難しい:配管周りなど複雑な部分の処理には高い技術が必要。
- シートが物理的に破れやすい:特に歩行が多い場所や、重量物が置かれる場所には不向き。
これらの問題点を解決するためには、複雑な形状部分にはコーナー補強材を使用したり、塗膜防水を選択するなどの対策が効果的です。
また、歩行頻度が高い場所には耐久性の高い防水工法を選ぶのがおすすめです。
シート防水の種類
シート防水には、主に「塩化ビニルシート」と「ゴムシート」の2種類があります。
塩化ビニルシート
塩化ビニルシート防水は、塩化ビニル樹脂を主原料としたシートを使用する工法です。
この工法は柔軟性が高く施工性に優れているのが特徴です。
また、価格が比較的安価であるため、コストメリットもあります。
ゴムシート
ゴムシート防水は、合成ゴムを主原料としたシートを使用する工法です。
高い伸縮性と耐久性が特徴で、建物の動きに追従しやすく、耐候性にも優れています。
シート防水の工法
シート防水は接着剤や専用固定具を使用して取り付ける方式を採用しています。
接着工法
接着工法は、専用の接着剤を使用してシートを下地に貼り付ける工法です。
風による影響を受けにくく、台風などの強風時でも安定しています。
機械固定工法(絶縁工法)
機械固定工法は、専用の材料を使用してシートを固定する工法です。
下地の状態に左右されにくく、多少の凹凸や湿気がある下地でも施工可能で、既存防水層の上への重ね張りにも適しています。
また、下地処理が簡略化できるため施工が速く、工期を短縮できます。
屋上防水工事は建物に適した防水工法を選ぼう
アスファルト防水とシート防水、どちらが優れているということはありません。
屋上防水において最も重要なのは、建物の特性や状況に適した工法を選定することです。
建物の条件・予算・将来のメンテナンス計画に基づいて選択することが大切です。
ただし、下地の状態や既存の防水層の種類によって最適な選択肢は異なります。
専門業者に相談しながら、防水計画を立てることをおすすめします。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計207社の正会員がおります(2025年3月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。