陸屋根に防水工事は必要|防水の種類や劣化サイン、メンテナンス方法まで解説
築年数の経過とともに避けては通れないのが陸屋根の防水工事です。
しかし、工法の選択や費用、施工時期など、判断に迷う要素は数多くあります。
本記事では、陸屋根の防水工事に関する基礎知識や工法の選び方・メンテナンス方法・信頼できる業者の見極め方まで、収益物件を長く維持するために必要な情報をわかりやすく解説します。
今後も物件の収益性を確保するために、ぜひ最後までごらんください。
・防水層の劣化は早期発見が重要で、色褪せ・ひび割れ・水たまりなどのサインに要注意です。
・工事は必ずプロに依頼し、複数業者から見積もりを取って金額や保証内容を比較検討しましょう。
Contents
陸屋根に防水工事が必要な理由
陸屋根は設備の設置や日常点検がしやすく、屋上スペースを有効活用できるため多くの建物で採用されています。
しかし、屋根勾配が緩やかなため雨水がたまりやすく、メンテナンスしなければ時間経過とともに少しずつ建物内部へ浸透します。
また、屋上は一年を通して直射日光を浴び続けるため、紫外線により防水層が劣化しやすい場所です。
夏場は50度以上になることも珍しくないうえに、冬場は氷点下まで冷え込むこともあります。
急激な温度変化によって、防水層は膨張と収縮を繰り返し、ひび割れなどの劣化現象が起きやすくなります。
建物を長く良好な状態で維持するためにも、定期的な防水工事は欠かせません。
陸屋根に使用される防水の種類|特徴や耐用年数
陸屋根の防水工事では、建物の状況や用途に応じて適した工法を選ぶことで、建物の資産価値を長く保てます。
ここでは、主に使用される3つの防水工法について、それぞれの特徴や耐用年数をご説明します。
ウレタン防水
さまざまな場所で施工できるため、目にする機会が多いのがウレタン防水です。
ウレタン防水は現場で液状の防水材料を塗布し、化学反応によって防水膜を形成する工法で、耐用年数は約10年とされています。
複雑な形状の屋根でも施工がしやすく、フェンスの基礎がある場合や、設備機器の架台が設置されている屋根などでも、細かい部分まで施工できます。
ただし、他の防水工法よりも耐用年数が短いため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
アスファルト防水(熱工法)
アスファルト防水は施工実績が多いことから信頼性が高く、保護コンクリート仕上げの場合耐用年数は約17年とされています。
液状の溶解アスファルトと防水性の高いアスファルトシートを何層にも重ねて、厚みのある防水層を形成します。
二層以上の積層が原則となっているため、耐久性が高く施工不良も出にくいのが特徴です。
シート防水
シート防水は、ゴムや塩ビ製のシートを下地に貼り付ける工法で、耐用年数は約13年とされています。
施工が比較的簡単なため費用も抑えやすく、物件の規模や予算に応じて選択しやすい工法です。
ただし、設備機器の設置や点検などで人が上がる機会が多い屋上では、シートが破損するリスクがあるため不向きです。
防水劣化のサイン|防水するべきタイミング
防水工事は建物を長持ちさせるのに欠かせない工事ですが、「もう少し様子を見ても大丈夫なのかな?」と判断に迷う方は多くおられます。
そこで、防水層の劣化サインを「要注意」と「すぐに対応すべき」の2段階に分けて解説します。
防水工事のタイミングが近づいているサイン
防水層に以下の兆候が見られた場合、まだ深刻な状態ではありませんが、この段階で専門業者に相談しておくと安心です。
- 色褪せや変色:防水層表面が色褪せたり、変色したりしている状態
- チョーキング現象:防水層の表面を手で触ると、白い粉が付着する状態
- 小さなひび割れ:髪の毛ほどの細かなひび割れが見られる状態
すぐに防水工事するべきサイン
以下のような状態が見られる場合は、雨漏りなどのトラブルにつながる可能性が高いため、早めに専門業者へ相談するのがおすすめです。
- 大きな亀裂やひび割れ:防水層に大きな亀裂やひび割れが多数見られる状態
- 防水層の浮きや剥がれ:防水シートや塗膜が下地から浮いたり、剥がれたりしている状態
- 水たまり:ドレン周辺に水たまりができている状態
- 防水層の膨れやシワ:防水層に膨れやシワが多数発生している状態
- 雑草の発生:防水層の上に雑草などの植物が生えている状態
- 雨漏り:室内の天井や壁に雨漏りの跡が見られる状態
これらの劣化サインは、時間の経過とともに建物へ深刻なダメージを与える可能性があります。
雨漏り補修には、防水工事にかかる費用の他に余計な費用が発生します。
賃貸物件として長く収益を上げ続けるためにも、予防保全的な防水工事を心がけるのがポイントです。
陸屋根の防水を長持ちさせるメンテナンス方法
定期的な防水層のメンテナンスが、建物の資産価値維持につながります。
ここでは、陸屋根の防水を長持ちさせるためのメンテナンス方法を3つご紹介します。
排水ドレンの清掃
排水ドレンは、陸屋根に降った雨水を排水する設備です。
排水ドレンが落ち葉などで詰まると屋上に水がたまり、防水層に負担がかかります。
定期的な清掃ポイントは以下の3つです。
- 半年に1回程度、ドレンまわりの落ち葉やゴミを取り除く
- 台風シーズン前後には清掃を行う
- ストレーナー(ゴミ受け)が破れていないか確認する
清掃自体は専門的な技術が必要な作業ではないので、無理のない範囲で定期的なチェックを心がけることで、建物の資産価値を長く保てます。
ドレンが引き起こすトラブルや対策について、こちらで解説しています。
目視での点検
防水層の状態を定期的に確認することで、早期に不具合を発見し、大規模な修繕を防げます。
とくに以下のポイントに注意して点検しましょう。
- 防水層の表面に変色やひび割れがないか
- 防水層の端に浮きや剥がれがないか
- ドレン周辺に水たまりができていないか
- 防水層に雑草が生えていないか
ただし、ご自身では気付けない不具合もあるため、5年に1度は専門業者による点検を受けるのがおすすめです。
定期的なトップコートの塗り替え
トップコートとは、防水層を紫外線から守る保護層のことで、一般的に5年程度で塗り替えが必要です。
塗り替えを怠ると防水層の劣化が早まり、本来維持できるはずの防水寿命が短くなります。
定期的なトップコートの塗り替えは一見コストがかかるように思えますが、防水工事の周期を延ばすことで長期的に見ればコスト削減につながります。
トップコートについては、こちらで詳しく解説しているので参考にしてください。
失敗しない業者選びのポイント
陸屋根の防水工事は、建物の資産価値を左右する重要な工事です。
DIYでの施工は、かえって建物を傷める可能性が高いため、必ず専門業者に依頼しましょう。
防水工事には、それぞれの工法に適した下地処理や端部の仕上げなど、専門的な知識と技術が必要です。
ここでは、失敗しない業者選びのポイントを2つご紹介します。
複数業者に見積もりをもらう
防水工事は、建物の状況や立地条件によって工事内容や金額が大きく変わります。
そのため、複数社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
見積書を比較する際は、以下のポイントをチェックしましょう。
・必要な下地処理の項目が見積もりに入っているか
・防水工法の選定理由が明確に説明されているか
・使用する材料のメーカーや商品名が明記されているか
・保証内容(期間・範囲)は明確か
見積もり費用だけで判断しない
防水工事は一見同じような工事内容に見えても、業者によって使用する材料や施工方法が異なります。
そのため、見積もり費用だけで判断するのは大変危険です。
極端に見積もりが安い業者は、安価な材料を使用していたり、必要な下地処理を省略していたりする可能性があります。
そこで、防水工事の実績や業者の対応、評判や口コミなど総合的に判断するのがおすすめです。
とくに、防水工事の組合に加盟している業者は定期的な技術研修を受けており、最新の工法や材料に関する情報も共有されているため、高品質な施工が期待できます。
長期的な視点で見ると、多少費用が高くても信頼できる業者に依頼する方が、建物の資産価値を守ることにつながります。
以下で、具体的な見積もりチェックポイントについて解説しています。
陸屋根の屋上防水は信頼できる業者へ相談しよう
陸屋根の防水工事はDIYでは施工が難しいため、必ず専門業者に相談しましょう。
防水工事を依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、工法選定の理由や使用材料、保証内容などを比較検討することが大切です。
収益物件を長期間維持するためにも、まずは信頼できる専門家に相談するのがおすすめです。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計207社の正会員がおります(2025年2月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。