屋上のウレタン防水とは?適した屋上や適さない条件、メンテナンス方法も解説
屋上防水工事でウレタン防水を検討されている方も多いのではないでしょうか。
工法の選択に加え、建物の状況による判断も大切です。
本記事では、ウレタン防水の特徴や工事の進め方や向いている屋上、適さない条件などを詳しく解説します。
寿命を長く保つためのメンテナンス方法も紹介していますので、ウレタン防水工事をご検討中の方は、ぜひ最後までごらんください。
・密着工法と通気緩衝工法があり、建物の状態に応じて適切な工法を選択する必要があります。
・ウレタン防水の耐用年数は5〜10年と短めですが、メンテナンスによって寿命を延ばせます。
Contents
ウレタン防水とは
屋上の防水工事では、施工のしやすさと費用面から、ウレタン防水が人気です。
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねることで、継ぎ目のない防水層を形成します。
塗膜防水なので凹凸のある場所でも施工でき、ベランダなど比較的狭い場所の防水にも適しています。
しかし、耐用年数は5〜10年と、アスファルト防水やシート防水と比べるとやや短めです。
ウレタン防水の工法と工程
ウレタン防水には、主に「密着工法」と「通気緩衝工法」の2種類があります。
それぞれ特徴が異なるため、建物の状態に合わせた適切な工法選びが大切です。
密着工法
密着工法は、ウレタン樹脂を直接下地に塗布して防水層を形成する工法です。
工程がシンプルなため、多くの屋上で採用されています。
費用を抑えられる反面、下地に水分や湿気が含まれていると防水層が剥がれやすくなるのがデメリットです。
密着工法の寿命は5〜10年とされていますが、施工の品質や周辺環境によって大きく変わります。
通気緩衝工法
通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む工法です。
通気緩衝シートには下地の湿気を外に逃がす効果があり、湿気の多い環境で効果を発揮します。
通気緩衝工法の耐用年数は約10年です。
材料費が増えるため、工事費用は密着工法よりも高くなります。
こちらの記事で、ウレタン防水の通気緩衝工法について詳しく解説しています。
その他の防水工法
ウレタン防水以外にも、実績のある防水工法がいくつかあります。
ここでは、代表的な「アスファルト防水」と「シート防水」をご紹介します。
アスファルト防水
アスファルト防水は防水工事のなかでも歴史が古く、多くの実績を持つ工法です。
アスファルトを主成分とする防水材料を使用し、主に「常温工法」「トーチ工法」「熱工法」の3種類があります。
アスファルト防水は耐久性にも優れており、適切に施工した場合の耐用年数は13〜17年です。
シート防水
シート防水は工場で製造された防水シートを使用する工法で、接着工法と機械的固定工法があります。
接着工法は、シートを下地に直接貼り付けるため施工が比較的簡単で、短期間で作業を完了できます。
工場製造のシートなので品質が安定しています。
機械的固定工法は、既存の防水層の上から施工できるため、古い防水層を撤去する必要がありません。
工期を短縮できるだけでなく、撤去費用も削減できる点がメリットです。
屋上防水にはさまざまな工法があり、それぞれに長所と短所があります。
建物の状態や予算、求める性能などを総合的に判断して、最適な工法を選択することが大切です。
ウレタン防水に適した屋上
建物の条件によって、防水工法の向き不向きは大きく異なります。
以下のような条件の屋上では、特徴を活かせます。
- 段差が多い屋上や、フェンス・室外機などの障害物が多い場所
- バルコニーやベランダなどの狭小部位を施工する場合
ただし、専門家に相談し、建物の状態を詳しく診断したうえで工法を決定することが大切です。
こちらの記事では、ウレタン防水が劣化症状やメンテナンスの目安について解説しています。
ウレタン防水を選ばないほうがよい屋上
一方で、ウレタン防水が適さない条件もあります。
以下のような場合は、他の防水工法を検討するのがおすすめです。
- 20年以上の長期耐久性を求める場合
- 既存防水層の劣化が進行しており、ふくれ発生などが多数見られる場合
- 頻繁に人が出入りする屋上
ウレタン防水を長持ちさせるメンテナンス方法
ウレタン防水は他の防水工法に比べて耐用年数が短めですが、定期的なメンテナンスによって寿命を延ばせます。
ご自身でできる日常的なメンテナンスから、専門家に依頼すべき定期点検まで詳しく解説します。
排水ドレンを半年に一度掃除する
屋上には、雨水を排水するための排水ドレンが設置されています。
排水ドレンの周辺には落ち葉やゴミが溜まりやすく、定期的な掃除が欠かせません。
排水ドレンが詰まると雨水が適切に排水されず、屋上に水たまりができます。
水たまりがウレタン防水と長時間触れることで、防水層の劣化を加速させる原因になるのです。
状況が長引くと防水層にひび割れや剥離などが生じ、本来の防水性能を失う恐れもあります。
台風シーズン後は、強風で飛ばされた枝葉やゴミが屋上に溜まっている可能性が高いため、点検と清掃するのがおすすめです。
5年に一度トップコートを塗り直す
ウレタン防水の表面には、防水層を紫外線から守る「トップコート」と呼ばれる保護層が施工されています。
トップコートは徐々に劣化するため、5年に一度の塗り替えがおすすめです。
定期的なトップコートの塗り替えは手間がかかりますが、怠ると大規模な防水工事が必要になる可能性があります。
専門家に相談しながら計画的に実施することで、長期的な費用を抑えられます。
定期的に業者に点検を依頼する
ウレタン防水の性能を維持するためには、専門家による定期点検が不可欠です。
点検の頻度は5年に一度が目安で、トップコートの塗り替え時期と合わせて実施するのがおすすめです。
専門家による点検では、防水層の劣化状況やシーリング材の状態、排水の流れなど、素人目ではわかりづらい部分まで確認できます。
早めに不具合を発見することで、大規模な修繕工事を未然に防げます。
信頼できる防水業者の選び方について、こちらをごらんください。
ウレタン防水に関するQ&A
ウレタン防水へのよくある質問について解説します。
ウレタン防水は施工時の臭いがキツい?
ウレタン防水の施工時には、特有の臭いが発生します。
一般的に使用される防水材に溶剤が含まれているためです。
施工面積や使用する材料によって異なりますが、数時間から数日程度続くことがあります。
最近では臭いの少ない水性のウレタン塗料も増えているので、気になる方は業者に確認しましょう。
雨が降っている時でもウレタン防水は施工できる?
ウレタン防水は、残念ながら雨天時には施工できません。
雨が上がった直後など湿度が高い状態でも施工は避けるべきです。
ウレタン樹脂は液状の材料なので、雨が降ると防水層が均一に形成されず、十分な防水効果が得られない可能性があります。
ウレタン防水の上は歩いても大丈夫?
ウレタン防水を施した屋上は、限られた人が歩くなど歩行頻度が低い場合であれば問題ありません。
しかし、長時間の立ち入りは避けたほうがよいです。
頻繁に人が出入りする屋上の場合は、より耐久性の高いアスファルト防水保護コンクリート仕上げなどの工法がおすすめです。
屋上のウレタン防水は適切な工法選択を
ウレタン防水工事は、建物の条件や要望に応じて適切な工法を選択する必要があります。
専門家に相談することで、建物の状態に最適な工法を選び、長期にわたって効果を維持できます。
また、施工後も定期的なメンテナンスが欠かせません。
5年に一度のトップコート塗り替えや、定期点検など、専門家による適切なケアで防水層の寿命を延ばせます。
ウレタン防水工事をご検討の方は、信頼できる専門家への相談がおすすめです。
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