建物調査が大規模改修工事の前に必要な理由|調査項目や流れを解説
築年数が経過した建物を長く安全に使い続けるためには、定期的な調査が不可欠です。
建物調査の実施により目に見えない劣化や損傷を早期に発見し、効率的な修繕計画を立てられます。
また、計画的な修繕により突発的な高額修繕を防ぎ、維持管理コストの最適化も実現できます。
本記事では、建物調査の具体的な進め方から調査結果の活用方法までご紹介するので、建物の長寿命化とコスト削減をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
・専門家による定期的な調査と診断により、建物の長寿命化が実現でき、資産価値の維持・向上につながります。
・防水調査は建物の耐久性に直結するため、関防協の認定を受けた専門の防水診断員による調査がおすすめです。
Contents
建物調査とは
建物調査とは、専門家がマンションやビルなどの建物の状態を詳しく調べる検査のことです。
建物の健康状態をチェックする「人間ドック」のような役割を果たします。
建物の外壁のひび割れ・雨漏りの可能性・設備の劣化など、さまざまな角度から建物の状態をチェックします。
建物調査の主な目的は以下の3つです。
- 建物の劣化状態を正確に把握する
- 今後発生しうる問題を事前に発見する
- 適切な修繕計画を立てるための情報を集める
調査期間は建物の規模によって異なりますが、一般的な50~100戸程度のマンションであれば1~2日程度で完了します。
ただし、より詳細な調査が必要な場合や大規模な建物の場合は、それ以上の期間がかかることもあります。
大規模修繕に建物調査が必要な理由
大規模修繕工事を行う前に、なぜ建物調査が必要なのでしょうか。
それは、建物調査の実施により工事の無駄を省き、効率的な修繕計画を立てられるからです。
ここでは、建物調査が必要な2つの理由について、詳しく解説します。
建物の経年劣化を早期発見できる
建物の劣化は、必ずしも目に見える形で進行するわけではありません。
建物調査では、専門家が専用の機器を使用して建物全体の状態を詳しく調べ、目視では分からない劣化も正確に把握できます。
たとえば、外壁の浮きやひび割れは打診棒による検査で見つけられ、赤外線カメラを使えば雨漏り箇所も特定可能です。
また、コンクリートの中性化試験により、建物の耐久性も調べられます。
計画的な修繕計画の立案ができる
建物調査で得られた詳細なデータは、その後の修繕計画を立てる際の重要な指針となります。
専門家による客観的な調査結果があれば「どの部分をいつどのように修繕すべきか」を判断できます。
たとえば、以下のような計画の立案が可能です。
- 緊急性の高い修繕箇所から優先的に工事を進められる
- 建物の状態に合わせた適切な工法や材料を選べる
- 修繕工事の実施時期を判断できる
- 必要な修繕費用を正確に見積もりできる
このように、建物調査により修繕計画の方向性が定まり、ムダのない計画的な修繕を実現します。
また、建物調査を実施すると本当に必要な工事を見極められるので、修繕費用を適切な水準に抑えられます。
建物調査は単なる費用ではなく、将来の出費を抑えるための重要な”投資”と言えます。
マンションの大規模修繕として最適な時期について、こちらで解説しています。
建物調査の具体的な流れ
建物調査は、単に建物を見て回るだけの作業ではありません。
調査の依頼から報告書の作成まで、いくつかのステップを踏んで進めていきます。
ここでは、建物調査の一連の流れをご紹介します。
診断業者への依頼・打ち合わせ
最初のステップは、建物診断を専門家に依頼することです。
依頼先としては施工会社・管理会社・コンサルタント会社などがあります。
業者選定後は、具体的な打ち合わせへと進み、建物の問題点や修繕に関する方針を確認するため、理事会や修繕委員会へのヒアリングが行われます。
この段階で建物の現状や管理組合の要望をしっかりと伝えることで、より適切な調査が可能となるのです。
書類の確認・居住者アンケート
次に、建物の基本情報を把握するため、竣工図書や修繕履歴・長期修繕計画など、さまざまな書類を確認します。
これらの資料から、建物の構造や過去の修繕状況、計画などの把握が可能です。
また、全戸を対象としたアンケート調査も実施します。
日々建物を使用している居住者の方々からの情報は、専門家の目では気づきにくい不具合や要望を把握するうえで重要です。
現地調査
建物の現地調査は、大きく分けて以下2つの方法で実施します。
1. 目視・打診調査
専門家が建物を実際に見て回り、以下の項目を確認します。
- 外壁のひび割れや浮き
- 鉄筋の露出状況
- 屋上防水層の状態
- 各種仕上げ材の変色や劣化
- 金属部分の腐食
2. 専門機器を使用した詳細調査
必要に応じて、以下のような専門的な検査を実施します。
- 外壁塗膜の付着力試験
- タイルの付着力試験
- コンクリートの中性化深さ試験
- シーリング材の物性試験
とくに重要な防水層については、必要に応じて一部を切り取って専門機関での詳細な分析を行うこともあります。
診断報告書作成・提出
現地調査が完了すると、調査結果の集計・分析を行い、結果をまとめた診断報告書を作成します。
作成された報告書は管理組合へ提出されたのち、専門家による詳しい説明会も行われ、今後必要となる修繕についても具体的なアドバイスが提供されます。
修繕計画の策定
最後に、調査結果をもとに具体的な修繕計画を作成します。
この計画には
- 工事が必要な範囲
- 実施スケジュール
- 予算計画
などが含まれ、これをもとに今後の大規模修繕工事が進められます。
また、修繕計画は定期的に見直し、建物の状況変化に応じて適宜更新していくことがポイントです。
修繕計画の詳しい活用方法について、こちらで解説しています。
建物診断は防水診断員にお任せ
建物調査のなかでも、とくに重要となるのが防水に関する調査です。
建物への雨水の侵入は建物の劣化を引き起こし、深刻な被害につながる可能性があります。
私たち関防協は、建物調査のスペシャリストである防水改修調査診断員を育成しています。
また、私たちは無料での建物調査も実施していますので、建物の防水性能に不安をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
経験豊富な防水診断員が、お客様の建物に最適な改修計画をご提案いたします。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計207社の正会員がおります(2024年11月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。