塩ビシート防水について|メリット・デメリットや工法別の違い・メンテナンス方法も解説
本記事では、塩ビシート防水のメリットとデメリット、密着工法や機械固定工法などの工法別の特徴、適した場所まで幅広く解説します。
そして大切なメンテナンス方法についても触れていますので、塩ビシート防水を検討中の方はぜひ参考にしてください。
・塩ビシート防水のメリットには、耐候性、短工期、安定した品質などがあります。
・主な工法には密着工法と機械固定工法があり、それぞれ特徴が異なります。
Contents
塩ビシート防水とは?
塩ビシート防水とは、塩化ビニル樹脂を原料とした防水シートを使用する防水工法のことです。
塩化ビニル樹脂は、雨どいや排水管などにも使われており、防水性に優れた素材として知られています。
かつてはゴムシートも使われていましたが、塩ビシートのほうがシートジョイント部の水密性が優れているなどの特徴から、現在では塩ビシートが主流になっています。
一般的な塩ビシート防水の耐用年数は、約13年程度です。
ただし、使用環境や維持管理の状況によって寿命は変わります。
塩ビシート防水材はシート自体に着色性があるため、保護塗料なしの仕上げが一般的です。
塩ビシート専用のトップコート(保護塗料)を塗布し、塩ビシートに含まれる可塑剤の移行を抑制することで、シートの柔軟性を長持ちさせ、耐久性を5年程度延ばすことができます。
屋上防水の保護塗料の役割や塗り替えのタイミングを知りたい方は、こちらを参考にしてください。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
塩ビシート防水は多くの建物で採用されている防水工法ですが、メリットとデメリットがあります。
塩ビシート防水のメリット
塩ビシート防水のメリットは以下の6点です。
- 紫外線や雨、熱に強い
- シートジョイント(重ね)部を溶着また熱融着施工するため、重ね部の水密性に優れる
- 工場で生産したシートを使用するため、品質が安定している
- 機械固定工法の場合、下地処理が簡略化できるため、短期間で施工ができる
- 機械固定工法の場合、既存の防水層を撤去せずに施工可能なので、さまざまな下地に対応できる
塩ビシート防水のデメリット
塩ビシートは耐久性などのメリットがある一方で、以下4点のデメリットがあります。
- 基礎や架台が多いなど、複雑な形状の屋上には不向き
- 時間経過とともにシートが固くなり、ひび割れしやすくなる傾向にある
- 機械固定工法の場合、固定金具を取り付ける際に騒音や振動が発生する
塩ビシート防水の工法
塩ビシート防水には、おもに接着工法と機械固定工法の2つの施工方法があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
接着工法
接着工法は、下地と塩ビシートを接着剤などで直接貼り付ける工法です。
下地の状態が防水の仕上がりに影響しやすく、平滑で乾燥した下地が必要となるため、下地作りがポイントになります。
一方で、塩ビシートを下地に接着させて施工するため、強風でもシートがめくれにくく、耐風圧性に優れているのが特徴です。
機械固定工法
機械固定工法は、既存の防水層の上から新しい塩ビシートを施工する工法です。
具体的には、下地にディスクを固定する穴を開け、新しい防水シートを固定していきます。
接着工法と比較すると、下地処理が簡略化できるため工期を短縮できます。
また、既存の防水層を撤去せずに施工できるため廃棄物が少なく、費用を抑えられるのもメリットです。
さらに、機械固定工法なら、現在の防水層の種類を問わずに施工ができます。
塩ビシート防水に適した場所
塩ビシート防水は、以下の場所への施工に適しています。
基礎・架台の少ない場所
塩ビシート防水は幅1.2m×10mほどの防水シートを40mmの重ね幅で施工します。
施工場所に基礎や架台が多いと、シートジョイント部が多くなり施工手間が余計にかかります。
短期間での施工が必要な場所
塩ビシートの機械固定工法は、接着剤を使用しないため乾燥時間が不要なのが特徴です。
そのため、工期がタイトな現場でもスピーディーに施工ができます。
下地の状態が良くない場所
機械固定工法では、既存の防水層を撤去せずに上から新しい塩ビシートを施工できます。
下地の状態を問わず、古い建物の改修や、複数回の防水工事を経験している建物などに適しています。
軽量化が必要な建物
塩ビシートは、アスファルト防水などと比べ、単層仕様のため軽量です。
そのため、防水層の重量を抑えられるので建物の負荷を軽減できます。
ただし複雑な形状の屋根や、多数の障害物がある屋上では、施工が難しくなる可能性があります。
他の防水工法を採用するなど、専門家に相談しながら適切な方法を選ぶのがおすすめです。
塩ビシート防水のメンテナンス
塩ビシート防水を長持ちさせ、建物を雨漏りから守るためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
定期的に点検をして、シート表面の状態を目視で確認し、シートのめくれやひび割れ、破れなどの劣化がないかチェックしましょう。
排水ドレンに落ち葉やゴミが詰まることがあります。
定期的な掃除で、排水ドレンまわりをきれいに保つことが防水層の劣化を遅らせるのに有効です。
しかしメンテナンスをしても、シート防水の経年劣化は避けられません。
塩ビシートの劣化が目立ってきたら、シート防水の全面改修を検討すべき時期です。
部分的な補修は漏水事故につながるリスクが高いので、専門家による診断を受けることをおすすめします。
屋上防水の劣化症状や対策について、こちらで解説しています。
定期的なメンテナンスで塩ビシート防水を長持ちさせよう
塩ビシート防水の耐用年数は、一般的に約13年程度とされています。
定期的なメンテナンスが、塩ビシート防水の寿命を延ばすことにつながります。
しかし、点検やメンテナンスには専門的な知識と技術が必要です。
素人判断で補修をすると、かえって悪影響をおよぼすこともあります。
そのため、防水工事を計画する際は、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
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