【よくある疑問】屋上防水にシートを使う方法とは?
屋上の防水にシートを使う方法は、手軽そうなイメージがあるけれど、耐用年数はどうなのだろう…?
天井に雨漏りのシミができた!という緊急事態が発生した時や、前回の屋上防水改修から年数が経ち雨漏りの不安を感じた時には、屋上防水が必要です。防水材にはアスファルト・シート・ウレタン防水などがありますが、今回はシート防水について説明します。
Contents
屋上の防水にシートを使うシート防水とは?
建物の屋上には、雨水が建物内に侵入することを防ぐ為に防水層を設ける必要があります。屋上からの雨水が建物内に入り込み、屋内の天井にシミを作ってしまったり、さらに構造部にまで浸透して建物の耐震性を低下させてしまったりすることを予防しなくてはならないからです。
この防水層の中のひとつがシート防水です。そしてシート防水に使われるシートには塩ビシートとゴムシートという2種類があります。
シート防水に使う塩ビシートとは
塩化ビニル樹脂を原料に作られたシートが塩ビシートです。屋上は常に雨風紫外線にさらされていますが、塩ビシートには優れた耐候性と強度があります。
さらに、塩ビ樹脂には熱や溶剤で溶けるという性質がある為、シートとシートの継ぎ目がしっかりと一体化し、より水密性が確保されるという特徴もあります。
その他に、塩ビシートには、屋上の断熱遮熱や屋上緑化との組み合わせが可能です。
屋上の断熱遮熱
屋上に断熱材と防水層を重ね、その上に高反射塗料で覆うサーモコントロール断熱という工法です。
断熱材が熱の出入りを妨げ、高反射塗料が太陽の熱を跳ね返す為、防水層でありながら、断熱と遮熱の働きもするという優れた工法です。サーモコントロール断熱が施工されているビルやマンションでは、屋内の温熱環境が少ないエネルギーで安定した状態に調います。
屋上緑化
建物の断熱と遮熱に役立ち、さらに屋上に憩いの場を生み出す防水層の造り方が屋上緑化です。防水層が土と樹木に覆われる為、紫外線や太陽熱による防水層への負荷が軽減されます。その結果、建物自体も防水層も劣化の速度が緩やかになる為、耐久性が向上します。
塩ビシートを使う屋上防水の工法
塩ビシートを使う防水層の工法選定については、現在の防水層に施されている工法や現在の防水層の劣化の度合いによって変わりますが、大きく分けると接着工法と機械的固定工法が挙げられます。
接着工法
接着工法は、シート全面に接着剤を塗布し下地に貼り付ける工法です。シートとシートの接合部は、加熱、又は溶剤によって溶融合させます。
接着工法での塩ビシート防水がされた屋上は、屋上を管理するスタッフなど、特定少数の人が軽歩行できます。
機械的固定工法
機械的固定工法は補強金具とディスクを使って防水シートを固定する工法です。下地の状態に対する適用性が高いため、現在の防水層を撤去せず被せて施工できる良さがあります。
さらに、機械的固定工法で使うディスクの中には、免震ディスクという塩ビシートが受ける風による衝撃を低減させるディスクもあります。
実は、雨水や太陽の熱と紫外線など、塩ビシートを劣化させる原因の中で、風は最も大きな衝撃となり劣化を進めます。建物に風が吹きつけると、屋根の場所によって異なる風圧が発生し、上方向と横方向からシートの固定部に負荷をかけるので、劣化の原因となってしまいます。
この免震ディスクを使う工法は、機械的固定工法の中でも、ゴム内在型ディスク機械的固定方法と呼ばれます。
機械的固定工法での塩ビシート防水がされた屋上は、原則として非歩行の屋上です。
シート防水に使うゴムシートとは
加硫ゴムを原料としたシートがゴムシートで、非歩行用の屋上に採用されます。柔軟性と下地亀裂追従性を備えています。下地追従性とは、下地にひび割れによる亀裂が発生した際、伸びて亀裂に追従する働きを指します。
紫外線に強く耐久性に優れており、比較的早く施工できることと、保護塗料の選び方で意匠性や機能性の向上を図れるという特徴があります。
ただ、ゴムシートはその薄さと柔軟性から、つつかれて穴が開く、引き裂かれるなど、カラスによる鳥害を受けやすいという弱点があります。
屋上防水の種類による耐用年数の違い
屋上防水にはシート防水の他に2つ、シート防水を含めると3つの防水工法があり、それぞれ特徴と耐用年数が異なります。
シートとディスクで変わるシート防水の耐用年数
シート防水の耐用年数は約13年とされていますが、工事に使われるシートによってこの耐用年数は変わってきます。例えば、耐震ディスクを使った機械的固定方法と、一般的なディスクを使った機械的固定方法では、同じ工法で施工するシート防水であっても、耐震ディスクを使った機械的固定方法の方が耐用年数を長くできます。
仕上げで変わるアスファルト防水(塗る+貼る工法)の耐用年数
液状の溶解アスファルトと、防水性の高いアスファルトシートを積層し、厚みのある防水層をつくります。二層以上の積層工法が原則で、水密性・耐久性とも高く、施工の不具合が出にくい工法です。
アスファルト防水には、防水層の上にコンクリートを重ねる押さえコンクリート仕上げと、砂の付いたシートで仕上げる露出仕上げの2タイプがあり耐用年数が異なります。
アスファルト防水押えコンクリート仕上げの耐用年数は建設省総合開発プロジェクト(昭和55〜59年)の「建築防水の耐久性向上技術」資料から、一般的には約17年とされています。田島ルーフィング(株)の経年防水層分析試験など、独自研究データによる推定耐用年数は26年から38年です。
アスファルト防水露出砂付き仕上げの耐用年数は建設省総合開発プロジェクト(昭和55〜59年)の「建築防水の耐久性向上技術」資料から、一般的には約13年とされています。田島ルーフィング(株)の経年防水層分析試験など、独自研究データによる推定耐用年数は19年から29年です。
ウレタン塗膜防水
ウレタン塗膜防水は現場で液状の防水材料を塗り、化学反応で防水の膜をつくる防水工法です。耐用年数は約10年です。
雨漏りが発生する前にしたい屋上の防水改修
建物の屋上には雨水による劣化を防ぐ為、常に防水層を良いコンディションにしておくことが大切です。屋上からの雨漏りが建物の寿命を短くしてしまうからです。
屋根(屋上防水)の点検
雨水を直接受ける屋根は、コンクリートだけでは水の侵入を防ぐことができないので、「防水層*」が設けられています。 防水層にも寿命があるので、建物の一生を通じて何度かは部分的に、あるいは全面的に修繕することが必要です。
そしてどの工法で防水されている屋上であっても、防水層の耐久性には限りがあります。どんなに優れた防水工事をしたとしても、40年以上、漏水の不安が発生しないという訳にはいきません。さらに、屋上防水の保障(瑕疵担保責任)も10年で切れる場合が多いです。
その為、屋上からの雨漏りを防ぐ為には、最適な時期に現在の工法に応じた防水改修工事が必要です。最適な時期とは、防水改修の期間と費用を抑えられる状態のある時期を指します。劣化が進んでしまうと、防水改修の工事にかかる期間と費用が嵩んでしまいます。
そして、最適な時期を知るためには、屋上の防水層改修診断が役立ちます。屋上の防水層改修診断とは、屋上防水に専門的な知識のある防水改修調査診断員が行う屋上の調査と、調査の結果から割り出す屋上に必要な改修の診断です。
この調査は無料で受けられますので、新築、又は前回の改修時から10年経っているという場合には、お気軽にお問い合わせください。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。