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パラペットやドレンは屋上からの漏水を防ぐ構造の一部ですが、劣化すると防水力が低下し、漏水の原因になってしまいます。その為、パラペットの笠木の劣化やドレンの詰まりの発見は、漏水を防ぐ手段のひとつとして有効です。
パラペットやドレンの納まりや構造と防水への役割、防水層の劣化に繋がる状態について確認していきましょう。
Contents
パラペットとは、屋上の外周部に設ける低い立上り部分のことで、防水力強化と墜落防止という2つの役割を持っています。
コンクリート笠木にはアゴ付きの形状、アルミなど金属笠木には直立型の形状がおもに採用されます。
屋上には雨水による漏水を防ぐ為に防水層が設けられています。防水層は雨水の侵入を防ぐことはできますが、建物の四方に雨水が流れ出すことは止められません。その為、4方をパラペットで囲んで、壁に雨水が流れ出さないようにして、防水力を強化しています。
さらに、パラペットの下部は、雨水を流す内樋と接触して、屋上とパラペットの接続部分からの雨水の侵入も防ぐ構造になっています。
加えてパラペットの先端部分は、雨水が侵入しないよう、笠木という部品で蓋をされています。さらにパラペットは防水力を強化する為、笠木の種類に応じて先端部に雨水が回り込まない形状が採用されています。
ビルやマンションの屋上は平らなので様々な用途があります。商業ビルなど不特定多数の人が出入りする場合には、パラペットとは別に、高い手すりを設けます。高い手すりは転落防止には役立ちますが、防水層のメンテナンスの際には、手すりによって工法に制限がかかってしまいます。
一方、空調設備や貯水タンクなどを設置し、メンテナンスなど特定少数の人しか立ち入らない場合には、パラペットが転落防止の役割を果たします。パラペットの他に手すりがないので、防水層のメンテナンスの際、工法の選び方に制限が生まれません。
二重三重に雨漏り防止対策が施されているにもかかわらず、パラペットが雨漏りの原因になってしまうことがあります。具体的な例を画像と共に見ていきましょう。
このような状態は防水層の劣化を招き、防水層の劣化は雨水による漏水のリスクを高めます。防水層が劣化すると、階下の部屋に雨漏りがする、天井や壁にシミができるというような目に見える被害だけではなく、構造部の劣化、耐震性の低下という深刻な事態に繋がります。
ビルやマンションの屋上は見た目には平らですが、排水の為に、歩行し難くならない程度の目に見えない勾配がついています。この勾配によって流れてきた雨水を受ける役目をする装置がドレンです。
ドレンは屋上に設けられている雨水を排出する為の装置で、屋上防水の工法に合わせたドレンが設けられています。ドレンと屋上防水の正しい組み合わせと、適切なドレンのサイズやタイプ、設置個数を選択することが、屋上の防水層を守り、屋上の防水力を強化します。
新築時には、将来の防水改修工事に備えた設計がされていますが、防水改修工事以前にドレンが不具合を起こしてしまうことがあります。不具合の原因は手入れ不足やドレンの劣化です。具体的な劣化の状態を画像と共に見ていきましょう。
雨水による屋上からの漏水の原因の多くは、このようなドレンの不具合が原因です。パラペットと同じように、不具合からドレンが劣化すると、並行して防水層の劣化を招き、防水層の劣化は雨水による漏水のリスクを高めます。
賃貸マンションであれば、住民からの信用が低下し、マンションの資産価値も低下してしまいます。分譲マンションの場合には、緊急に理事会を招集し修繕の計画を進めなくてはならなくなってしまいます。そのような状況を避ける為には、早期に劣化の兆候を発見することが大切です。
屋上防水層の劣化は、パラペットやドレン以外にも複数あり、そのうちのどれを見逃しても、建物の寿命を短くする恐れがあります。耐用年数まで間があるという場合でも、屋上の使い方やドレンの手入れ不足、天候の変化など様々な要因で、耐用年数を待たずに劣化することがないとは言えません。
そして、目視できるほどパラペットやドレンの劣化が進んでいる場合、状態はかなり深刻です。その為、目視では確認し難い状態である時期に、劣化の兆候を発見することが大切です。ただ、目視では確認し難い劣化の状態を発見すると言っても、簡単にはできません。まず、屋上に立ち入るチャンスがないというケースがほとんどだと思います。
屋上に立ち入ったとしても、できることと言えば、ドレンに風で飛んできたゴミが詰まっていないかをチェックするくらいではないでしょうか？そこで有効な方法が、防水改修調査です。防水調査をすることによって、専門家でなければ発見できない防水層の劣化をいち早く見つける事ができます。
防水改修調査とは、パラペットやドレン以外にも、屋上からの漏水の有無、ひび割れや退色、ふくれ、しわなどの劣化の度合いや範囲の確認、シーリング材の劣化や固定金物類の不具合の確認を写真撮影や実測をしながら行う調査です。
この調査で屋上の劣化を早期発見することによって、深刻な事態を避けられると共に、費用を抑えられる可能性も出てきます。
防水層の改修は、現在の防水層の状態によって工事の選択肢が変わります。比較的良好な状態であれば、新しい防水層をかぶせるかぶせ工法でできるので、工事期間も工事費用も抑えられます。
屋上の様子を見ても、屋上の防水層がどの程度劣化しているのかという判断はとても難しいです。「耐用年数を迎えているが、見た目には問題がなさそうに見える」という状況や、「耐用年数までまだ数年あるが、劣化しているのではないかと不安を感じる」というような状況には、防水改修調査が非常に有効です。
防水改修調査によって、専門家でなければ発見できない防水層の劣化をいち早く見つけ、屋上防水を良いコンディションに保つことが、建物の寿命と、資産価値を維持することに繋がります。
防水工事と防水層の劣化を未然に防ぐ定期的な防水改修調査は、コンクリートの建物の安全と資産価値を維持する為に、必要不可欠です。屋上防水の状態に不安がある場合や、防水調査についてわからないことがあれば、お気軽にご相談ください。
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