ビルやマンションの屋上防水の種類と断熱の関係  サーモコントロール断熱とは?  

屋上防水

コラムのポイント
●防水工事は建物の寿命を守る為の必要不可欠な工事です
●屋上防水の種類によって耐用年数が変わります
●サーモコントロール断熱は防水と同時に断熱・遮熱をして建物内の温熱環境を向上させます。

 

ビルやマンションに必要不可欠なメンテナンスの中の一つに屋上防水があります。屋上防水にはシート防水などの多数の種類がありますが、この中に防水と同時に断熱・遮熱ができる方法があることをご存知ですか? ここでは屋上防水を必ずしなくてはならない理由と屋上防水の種類、そして屋上の断熱・遮熱について画像を見ながら考えていきましょう。

 

屋上防水とは?

ウレタン防水 ビルやマンションの屋上に新築時はもちろん、その後も定期的にしなくてはならない工事が防水工事です。この工事が重要である理由は、防水工事によって「ビルやマンションの耐久性の低下が防げる」ということです。

屋根の形状による屋上防水の必要性

ビルやマンションの屋上には、戸建て住宅に見られる切妻屋根や方形屋根のような屋根面の傾斜がありません。雨水排水の為、目視では確認できないほどの傾斜はつけられていますが、切妻屋根や方形屋根ほど大量の雨水を排水できるわけではありません。 その為、もし防水工事が施されていなかった場合、雨水が建物内に浸透してしまいます。

コンクリートの劣化によるメンテナンスの必要性

屋上は常に紫外線や雨風にさらされている場所なので、経年によってコンクリートに少しずつひび割れが発生してしまいます。 また、コンクリートの内部に、空気中の炭酸ガスなどが侵入することによってもコンクリートは劣化します。

通常、コンクリートの内部にある鉄筋は、錆びないように弱アルカリ性に覆われています。ところが炭酸ガスなどが侵入すると化学反応が起こり、弱アルカリ性が中性化される為、鉄筋が錆びやすくなってしまいます。その結果、コンクリートは破損しやすい状態になってしまいます。

屋上防水をしなかった場合に起こること

屋上から雨水が浸透すると、階下の部屋の天井の雨漏りなどの被害が発生します。さらに、メンテナンスをしない時期が長引き、雨水の浸透が放置されてしまうと、雨水がコンクリートの内部に浸透し、構造部を腐食させてしまうこともあります。

もしそうなってしまった場合、ビルやマンションの耐久性が低下し、地震に弱い建物になってしまう危険性が高まるおそれもあります。

ビルやマンションの屋上防水の種類

マンションの屋上防水防水層とは、屋上に設ける防水機能のある層のことです。 屋上防水には大きく分けて3種類あり、それぞれ工事の方法と耐用年数が異なります。それぞれの防水の方法と耐用年数について見ていきましょう。

アスファルト防水

100年以上の間、屋上防水に採用されてきた信頼性が高く、優秀な実績を持つ防水の方法です。液状の溶解アスファルトと、防水性の高いアスファルトシートを二層以上積み重ね、厚みのある防水層をつくります。

この防水方法では、仕上げによって耐用年数が変わります。 近年は、昔ながらの工法に加え、アスファルトを溶融させる時に発生する臭いと煙を防ぐ為、常温粘着工法やトーチ工法という工事方法が採用されることもあります。

  • 常温粘着工法 耐久性が高い改質アスファルトで作られたシートを、ゴムアスファルト裏面の粘着材で貼り付けていく工法です。
  • トーチ工法 耐久性の高い改質アスファルトで作られたシートの裏面をトーチバーナーであぶって貼り付ける工法です。

押さえコンクリート仕上げ

押さえコンクリート仕上げ

防水層の上をコンクリートで保護する仕上げです。 耐用年数は建設省総合開発プロジェクト(昭和55〜59年)の「建築防水の耐久性向上技術」資料では、標準が約17年とされています。

田島ルーフィング(株)の経年防水層分析試験など、独自研究データによる推定耐用年数は、26~38年です。

露出砂付き仕上げ

露出仕上げ

防水層の上を砂の付いたシートで保護する仕上げです。標準耐用年数は13年、田島ルーフィングでの推定耐用年数は19〜29年です。

ウレタン塗膜防水

ウレタン塗膜防水

ウレタン結合と呼ばれる化学反応によって生成された樹脂を複数回塗布し、硬化することで防水の膜をつくる防水工事の方法です。屋上にはフェンスの基礎など、工事のし難い個所がありますが、塗る工事である塗膜防水であれば、問題なく防水工事が行えます。

合成高分子系 シート防水

合成高分子系 シート防水

ゴムや塩化ビニルから作られたシートを、下地に貼りつける防水工事の方法です。標準耐用年数は13年です。

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断熱・遮熱効果も得られる屋上防水

サーモコントロール断熱

屋上防水の目的は防水ですが、近年は防水に加えて断熱と遮熱ができるサーモコントロール断熱という防水改修の方法が開発されています。

防水には「防水面が露出して見える露出防水」と防水工事後、「表面にコンクリートを打設する保護防水」があります。一般的にビルやマンションの屋上には、露出防水工事が行われることが多い傾向にあります。露出防水工事の良い点は、防水層の重みが建物に与える負荷を少なくすることにあります。

保護防水では、防水層の上のコンクリートの重みがある為、屋上の重量はおよそ200kg/㎡にもなります。一方、露出防水では約15kg/㎡まで、屋上にかかる重量を抑えられます。

この露出防水に断熱機能と遮熱機能を持たせる方法がサーモコントロール断熱です。サーモコントロール断熱と遮熱によって得られる効果には、ビルやマンション内の環境を快適にするという効果と、屋上の劣化を抑える効果があります。

ビルやマンション内の環境を快適にする

ビル内のオフィス 断熱性能とは、建物への熱の出入りを妨げる働きを指します。夏は建物内に侵入する太陽の熱、冬は建物から逃げていく暖房の熱を抑える為、外気温による建物内の温度への影響が少なくなります。

その結果、建物内に少ないエネルギーで快適な温度を維持することができる為、省エネ効果を生み出します。

サーモコントロール断熱と天井の断熱の違い

サーモコントロール断熱は、屋上の防水層の上で断熱する為、外断熱工法にあたります。一方、天井裏の断熱は建物内部に断熱材を施工する内断熱です。どちらの工法にも建物内の温熱環境を向上させる働きがあります。

そして外断熱には、それ以外に、外気の変化を建物全体に伝えにくくする働きがあり、建物自体にかかる外気からの影響も抑えます。

遮熱の働き

遮熱性能とは、「太陽の熱を反射させて室内への熱の侵入を抑える働き」を指します。太陽光は物にあたることで熱エネルギーに変換され、ふく射熱になります。サーモコントロール断熱は、この輻射熱を反射させ、建物内への熱の侵入を抑えます。

その結果、建物内の温度上昇が抑えられ、少ないエネルギーで涼しい温度を維持できる環境が調います。

屋上の劣化を抑える

屋上では雨水だけではなく、太陽の熱も防水層の劣化の原因になります。ビルやマンションの天井裏には、断熱性の為、断熱材が設けられています。ただ、断熱材は建物内の熱の出入りは抑えますが、断熱材の上にある屋上への熱は防げません。

その為、夏は太陽熱によって防水層が80℃近い高温になることがあり、その高温が防水層を劣化させてしまいます。防水層の劣化は、屋上の劣化、建物全体の劣化に繋がるので、防水層を高温にしないことが重要です。

サーモコントロール断熱の持つ遮熱の働きは、防水層が高温になることを防ぎます。 また、サーモコントロール断熱は、防水層だけではなくコンクリートへの熱の伝わりも抑えるので、コンクリートも保護されます。

サーモコントロール断熱についてこちらからさらに詳しくご覧になれます。

TAJIMA ROOF サーモコントロール断熱オフィシャルガイド 

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工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。

当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。

また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。

当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます

 

 

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関東防水管理事業協同組合事務局

関東防水管理事業協同組合事務局

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日々進化する防水工法や現場のニーズに合わせた最適な対応を行うため、施工技術者の育成にも取り組んでいます。
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