アスファルト防水の保護コンクリートの役割や耐用年数|劣化症状やメンテナンス方法、改修方法も解説
マンションやビルの建設を計画中のオーナー様の中には、アスファルト防水工法における保護コンクリート仕上げの採用を検討されている方も多いのではないでしょうか。
防水層を守る役割がある一方で、改修時の撤去作業や費用面など、気になる点もあるかと思います。
本記事では、保護コンクリートの役割や耐用年数、劣化症状からメンテナンス方法、改修方法まで詳しく解説します。
物件の資産価値を維持し、長期的な収益確保につながる最適な防水工法の選定にお役立てください。
・定期的なメンテナンスを行えば30年以上の耐久性も期待でき、建物の資産価値維持に貢献します。
・改修時は既存の保護コンクリートを活かした「かぶせ工法」が主流です。
Contents
アスファルト防水の保護コンクリート仕上げとは|役割や耐用年数
アスファルト防水の保護コンクリート仕上げとは、アスファルト防水層の上に施工されるコンクリートのことです。
「押さえコンクリート」や「シンダーコンクリート」とも呼ばれ、紫外線による劣化や、歩行や重量物による損傷を防止するのが主な役割です。
アスファルトは紫外線に弱く、直接さらされ続けると劣化が進みます。
保護コンクリートは、紫外線をカットして防水層の耐久性を高める効果があります。
また防水層は本来、歩行用途に適していないため、日常的に人が往来する場所には、保護コンクリートが有効です。
では、アスファルト防水・保護コンクリート仕上げの防水耐用年数はどの程度なのでしょうか。
建設省(現在の国土交通省)の総合開発プロジェクトの資料では耐用年数は約17年、田島ルーフィング株式会社の経年防水層分析試験では26〜38年とされています。
定期的なメンテナンスを行えば、30年以上にわたって建物を守り続けてくれるケースもあります。
長寿命であることは、収益物件としての資産価値を維持するうえで大きなメリットです。
防水工事の費用対効果を考える際は、初期投資だけでなく、長期的な耐久性も重要なポイントです。
一般的なアスファルト防水よりも高性能な「改質アスファルト防水」についてこちらで解説しています。
保護コンクリートの劣化症状
保護コンクリートは耐久性が高い一方で、さまざまな経年劣化が現れます。
ここでは、主にみられる4つの劣化症状について解説します。
ひび割れ
保護コンクリートの劣化症状で、よくみられるのが「ひび割れ」です。
ひび割れは温度変化や乾燥による伸縮、重量物による荷重など、さまざまな要因で発生します。
防水層は保護コンクリートの下にあるため、ひび割れが漏水に直接つながる事はありませんが、保護層自体の劣化が進行している目安となります。
浮き
定期点検で気づきにくいのが「浮き」です。
浮きは経年劣化により保護コンクリートが下地から剥離する現象で、進行すると欠損や欠落につながります。
伸縮目地の浮き
保護コンクリートには、温度変化による膨張・収縮を吸収するために、黒い棒状の「伸縮目地」が設けられています。
伸縮目地の耐久性が低下するとコンクリートの動きを抑えられなくなります。
保護コンクリートの劣化は、すぐに防水層に影響を与えるわけではありませんが、放置すれば徐々に防水層の劣化を引き起こし、建物の資産価値を低下させる原因となるため注意が必要です。
保護コンクリートの寿命を延ばすメンテナンス方法や改修方法
保護コンクリートは耐久性が高い一方で、定期的なメンテナンスを怠ると防水改修時に下地処理工事が余計にかかる可能性があります。
ここでは、保護コンクリートを長持ちさせるためのメンテナンス方法と、改修方法について見ていきましょう。
メンテナンス方法
収益物件の資産価値を維持するために、半年に1回程度行いたいのが屋上防水の清掃です。
屋上清掃で落ち葉やゴミを除去し、排水ドレンの詰まりを防いで水はけを確保することが大切です。
また、雑草が生えると根が防水層を傷める原因になるため、大きく育つ前に除去します。
清掃とあわせて、目視点検も実施します。
排水ドレンの劣化状況や伸縮目地の状態も忘れずにチェックしましょう。
「今のところ問題ないから」と点検を後回しにしてしまうと、気づいた時には修繕費用が何倍にも膨らむ可能性があります。
定期的なメンテナンスを心がけましょう。
大規模修繕工事の内容や時期について、こちらで解説しています。
改修方法
防水改修工事を検討される際、気になるのが工法の選定です。
保護コンクリートが劣化した場合の改修方法は、主に「撤去工法」と「かぶせ工法」の2種類があります。
撤去工法
既存の保護コンクリートを完全に撤去して、新しい防水層を施工する方法です。
しかし、撤去に多大な労力と費用が必要になり、工期が長くなることから、実際の収益物件ではほとんど採用されていません。
かぶせ工法
既存の保護コンクリートの上から新しい防水層を施工する方法です。
撤去費用が不要で経済的なうえ、工期が短く入居者への影響も抑えられます。
かぶせ工法は産業廃棄物が少なく済むため、現在の主流工法となっています。
かぶせ工法で使用できる防水材にはさまざまな防水工法がありますが、特におすすめなのが「通気緩衝工法」です。
通気緩衝工法は保護コンクリート内部の水分を排出できる工法で、下地の水分による防水層劣化を防ぎます。
保護コンクリートのメンテナンスで防水層を守る
今回は、保護コンクリートの基本的な役割から劣化症状、メンテナンス方法、改修方法まで詳しく解説してきました。
保護コンクリートは耐久性が高く、適切に管理すれば長期にわたって機能を発揮できますが、「耐久性が高いから放置してもいい」というわけではありません。
定期的なメンテナンスを怠れば、ひび割れや浮きなどの劣化症状が発生し、防水機能の低下につながります。
賃貸マンションやテナントビルなど、収益物件として長期運用をお考えのオーナー様は、ぜひ関防協までご相談ください。
建物の現状診断はもちろん、劣化状況に応じた最適なメンテナンス方法や改修工法をご提案させていただきます。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計207社の正会員がおります(2025年2月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。