マンションの寿命を左右する屋上の防水劣化と対策|劣化する原因やメンテナンス方法を解説
屋上防水の劣化は、建物の寿命や安全性に直結する問題です。
紫外線や排水不良、物理的損傷などが原因となり、雨漏りや構造体の損傷を引き起こす可能性があります。
本記事では、屋上防水の種類別劣化症状や対策、劣化の影響、効果的なメンテナンス方法を詳しく解説します。
屋上防水の管理に悩む方、劣化対策を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
・屋上防水の劣化による影響には、建物内部への雨漏りや構造体の損傷リスクがあります。
・劣化を防ぐメンテナンス方法には、適切なトップコートの塗り替え・排水ドレンの掃除・劣化症状の早期発見と補修などがあります。
Contents
屋上防水の種類別の劣化症状と対策
屋上防水の劣化は建物の寿命に影響し、防水の種類によって劣化症状や対策が異なります。
ここでは、主な屋上防水の種類別に劣化症状と対策について解説します。
ウレタン塗膜防水
ウレタン塗膜防水は柔軟性が高く、液状の材料による施工で複雑な形状をした部位でも継ぎ目のない防水被膜を形成できるのが特徴です。
【劣化症状】
- チョーキング現象(塗膜が粉状になる)
- 防水層のひび割れや剥がれ
- フクレや浮き
- 防水層の亀裂・破断
メンテナンスとして、定期的なトップコートの塗り替えが効果的です。
トップコートは紫外線から防水層を守る役割があり、定期的な塗り替えで防水性能を維持できます。
また定期的な点検とメンテナンスにより、早期に劣化を発見しトラブルを未然に防げます。
ウレタン防水の劣化対策について、より詳しく知りたい方は以下のコラムをご覧ください。
シート防水
シート防水は耐久性に優れていますが、ジョイント(重ね)部分や固定部分の劣化に注意が必要です。
【劣化症状】
- シートのジョイント(重ね)部分の不具合
- フクレや剥がれ
- 雨水の滞留による劣化
対策として、ジョイント(重ね)部分や固定用ディスクの定期点検が大切です。
シートの接合部や固定部分はとくに劣化しやすいため、定期的な点検が欠かせません。
また小さな破損や剥がれは早期に部分補修することで、大規模な補修を防げます。
耐用年数が近い場合は全面防水の検討が必要です。
シート防水の寿命は13年程度のため、耐用年数が近づいたら全面的な防水工事を検討しましょう。
シート防水の耐用年数や補修方法について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。
アスファルト防水
アスファルト防水は耐久性が高く、信頼性の高い防水工法です。
【劣化症状】
- 保護塗料の消失
- 防水層のフクレ
- 防水層ジョイント(重ね)部の口開き
対策として、定期的なトップコートの再塗布が効果的です。
保護塗料は紫外線から防水層を守るため、定期的な再塗布で防水性能を維持しましょう。
アスファルト防水は施工技術が重要なため、信頼できる高い技術力を持つ業者を選ぶことがポイントです。
アスファルト防水の特徴や補修方法について、より詳しく知りたい方は以下のコラムをご覧ください。
屋上防水の劣化原因
屋上防水の劣化は建物の寿命に大きく影響します。
ここでは、知っておくべき5つの主な劣化原因を解説します。
紫外線による経年劣化
紫外線は防水材料を劣化させる主要因の1つです。
太陽の紫外線により、防水層が徐々に劣化していきます。
典型的な症状として、ひび割れや変色、表面のチョーキング現象などが挙げられます。
紫外線対策としては、トップコートの定期的な塗り替えが効果的です。
排水不良と水たまり
排水不良による水たまりは防水層をを劣化させ、亀裂や剥がれなどのダメージを引き起こす原因となります。
水たまりを予防するには適切な勾配確保や排水ドレンの清掃など、適切な排水設計とメンテナンスが不可欠です。
物理的な損傷
屋上での人の歩行や物の移動によって、防水層に物理的な損傷が生じることがあります。
とくに重い物を引きずったり、尖った物を落としたりすると、防水層に傷がつく原因になります。
対策としては、歩行用保護マットの設置や、設備機器の下に保護板を敷くなどの方法が有効です。
不適切な施工や材料の選択
下地処理不足などの施工不良は接着不良を引き起こし、防水層の剥がれや防水性能の低下につながる可能性があります。
また不適切な材料選択は、早期劣化や想定外の不具合をもたらすケースもあります。
適切な材料の使用と品質管理を徹底するため、信頼できる業者の選定と十分な事前打ち合わせが欠かせません。
メンテナンス不足
定期的なメンテナンスは防水層の寿命を延ばすポイントであり、怠ると小さな不具合が見過ごされて劣化が加速する可能性があります。
効果的なメンテナンス計画を立てるには、専門家のアドバイスを受けながら、建物の特性や使用状況に応じた点検スケジュールを作成することが大切です。
屋上防水の劣化による影響
ここでは、屋上防水の劣化による主な2つの影響について解説します。
早期発見と適切な対策が、建物の長寿命化につながります。
建物内部への雨漏り
屋上防水が劣化すると雨水が建物内部に侵入しやすくなり、雨漏りの原因になります。
雨漏りは単なる見た目の問題ではなく、さまざまな影響をもたらす可能性があります。
- 内装材の劣化:壁紙の剥がれや天井のシミ、床材の膨張など
- カビやダニの発生:湿気の増加による衛生環境の悪化
- 電気系統のトラブル:配線への水の浸入による漏電や火災のリスク
構造体の損傷リスク
防水層の劣化により、雨水が建物の構造材に浸透すると、さまざまな問題が発生します。
鉄筋コンクリート造の建物では以下のリスクがあります。
- 鉄筋の腐食:コンクリート内部の鉄筋が錆びることで、強度が下がる
- コンクリートのひび割れ:鉄筋の膨張によりコンクリートにひび割れが発生
- 中性化の進行:雨水の侵入により、コンクリートの中性化が進み、鉄筋を保護する機能が下がる
定期的な点検と適切なメンテナンスにより、上記のリスクを抑えられます。
屋上防水の劣化を防ぐメンテナンス方法
屋上防水の劣化を防ぐための効果的なメンテナンス方法は、主に4つあります。
- 定期的なトップコートの塗り替え
- 排水ドレンの掃除
- 劣化症状の早期発見と補修
- 専門家による定期検査の実施
順番に解説します。
定期的なトップコートの塗り替え
屋上防水層を紫外線から守るトップコートの定期的な塗り替えは、防水層の劣化を防ぎ長寿命化につながる大切なメンテナンスです。
トップコートの役割は主に、防水層の保護・美観の維持の2つがあります。
塗り替えのタイミングは種類によって5〜12年と幅がありますが、チョーキング現象やひび割れが見られたときは要注意です。
トップコートは、建物の環境や用途に合わせた材料選択が必要です。
施工時は下地の十分な清掃と乾燥、適切な塗布量の確保、天候を考慮した時期に注意しましょう。
排水ドレンの掃除
排水ドレンの詰まりは水たまりの原因となり、防水層の劣化を加速させるため、定期的な清掃と点検が必要です。
落ち葉やゴミの定期的な除去(3か月に1回程度)を推奨します。
また、雨樋の詰まりや破損、排水管の漏水や腐食などの定期的なチェックが大切です。
劣化症状の早期発見と補修
ひび割れやフクレなどの劣化症状が見られた場合は、早期に補修することで雨水の侵入を防げます。
3か月に1回程度の目視点検や雨天後の水たまりのチェックなどが、劣化を早期発見するポイントです。
補修方法は症状や劣化具合によって異なりますが、一般的な方法は以下の通りです。
- ひび割れ:シーリング材や補修用塗料での充填
- フクレ:フクレ部分の切開と乾燥後の補修材充填
- 剥がれ:剥がれ部分の除去と新規の防水材の塗布
補修工事は防水事業者による施工が不可欠です。
また瑕疵保証期間(10年)中は、元施工の業者に依頼する必要があります。
専門家による定期検査の実施
専門家による定期的な検査は、普段のチェックでは気づきにくい劣化を発見するために不可欠です。
一般的に5年に1回の頻度での専門家による検査がおすすめです。
検査では主に以下の項目を確認します。
- 防水層の全体的な状態
- シート防水のジョイント(重ね)部や端部の状態
- ドレンや排水システムの機能
- パラペットや笠木の状態
- 設備周りの防水処理
検査結果に基づいて部分補修か全面改修か、適切な補修工法は何か、優先順位を付けた修繕計画をどう立てるかなどを判断します。
定期的な点検とメンテナンスが屋上防水の延命につながります
屋上防水の劣化は建物の寿命に大きく影響します。
劣化の主な原因には紫外線による経年劣化・排水不良と水たまり・物理的な損傷などがあります。
しかし大規模修繕工事の時期を判断するのは難しく、防水業者の選定も悩ましい問題です。
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