【マンションの雨漏りの原因と対処法】保険や応急処置についても解説
マンションでの雨漏りは建物全体の問題なので、対処の仕方が複雑です。特に最上階の部屋では「応急処置をしたいが管理会社が直してくれない」など深刻な状況になることもあります。
このような場合、保険や損害賠償、雨漏りの原因や対処方法について確認していきましょう。
●屋上や外壁からの雨漏りはほとんどの場合、人災ではなく経年劣化が原因です
●賃貸マンションでは所有者、分譲マンションでは管理組合が雨漏りの修理をし、場合によっては損害賠償をします
Contents
分譲と賃貸では異なるマンションの雨漏りの責任の所在
雨漏りはマンション全体の構造部の劣化に繋がる重要な問題ですが、最上階の部屋では直接的な被害があります。天井や壁にシミができる以外に、室内に水滴が垂れて家具が傷んでしまったり、家電製品が壊れてしまったりすることもあります。
また、上階のベランダから雨漏りが発生する場合もあります。これは、道路斜線制限によって上階が下の階より狭い構造のマンションに起こることのある問題です。上に行くにしたがって斜めに狭められている構造では、上階のベランダの下に部屋があります。
その為、ベランダが接している外壁に隙間ができていると、ベランダに降り込んだ雨がその隙間を通って下の階に漏れてしまうのです。どちらの場合も分譲マンションと賃貸マンションでは、修理費用を負担して責任を取る側が異なります。
賃貸マンション
賃貸マンションでは、屋上や上の階のベランダからの雨漏りの責任はマンションの貸主が取ります。その為、屋上や上の階のベランダからの雨漏りが発生した際には、マンションの貸主、又は貸主から委託されている管理会社が修理費用を負担します。
もし、投資の為に賃貸マンションを経営している場合、雨漏りによって大きな被害が出ると、損害賠償の責任が発生してしまうことがあります。
分譲マンション
分譲マンションには修理が必要になった際、修理をする個所によって責任の所在が変わります。マンションには住民全員が使う共用部分と個人の専有スペースがあります。組合の管理規約にもよりますが一般的には、共有部分に修理が必要な問題が発生した場合には管理組合、個人の専有スペースでは個人が修理します。
屋上は共有部分にあたりますので、屋上からの雨漏りの場合には、被害を受けた部屋の住民ではなく、管理組合が責任を持って修理します。 ただ、管理組合の修理費は、住民全体の積立金です。そして、雨漏りが発生した部分は共用スペースですが、最上階以外の住民は実際に被害を受けていません。
その為、住民全員の賛成が得られるまでに時間がかかる恐れもあります。 マンションの管理規約はマンションによって異なりますが、国土交通省のサイトからガイドラインを確認することができます。
参考サイト: 国土交通省 マンション管理について
マンションで雨漏りが起こる原因
マンションでの雨漏りは屋上や外壁など建物の劣化によって発生します。水道管や排水管のトラブルや住民の過失による水漏れとは、まったく原因が異なりますので、ここでは、雨漏りの原因について説明します。
屋上からの雨漏り
戸建て住宅の屋根と違い傾斜がない為、マンションの屋上には新築時に防水工事が施されています。防水工事の種類によって耐用年数は異なりますが、定期的なメンテナンスはどの種類の防水工事にも必要です。
屋上は常に雨風、紫外線にさらされているので、新築時に完璧な防水工事をしても、経年でヒビが入り、防水機能が衰えてしまうのです。そして、このメンテナンスを怠っていると、屋上から雨水が侵入し、雨漏りを発生させてしまいます。
屋上からの雨漏りを防ぐ為には、防水工事の種類に合わせて適切な時期に、メンテナンスをすることは必要不可欠です。また、悪天候が続いたり、排水口の手入れが悪かったりすると、メンテナンス時期よりも早めに対処する必要が出てくる場合もあります。
防水塗装の褪色や剥がれ、膨れ、コンクリートのひび割れなどが発生している場合には、早めのメンテナンスが必要です。加えて、排水口に落ち葉などが詰まってしまうと、水はけが悪くなり、水たまりができてしまうこともあります。この水たまりもコンクリートや防水層の劣化を進めてしまいます。
防水工事の種類による耐用年数の違い
工法名 | ウレタン塗膜防水 | アスファルト防水 押えコンクリート仕上げ | アスファルト防水 露出砂付き仕上げ | 合成高分子系 シート防水 |
---|---|---|---|---|
標準 耐用年数 | 約10年 | 約17年 (26〜38年) | 約13年 (19〜29年) | 約13年 |
工法 イメージ |
※建設省総合開発プロジェクト(昭和55〜59年)の「建築防水の耐久性向上技術」資料より引用( )内の年限は、田島ルーフィング(株)の経年防水層分析試験など、独自研究データによる推定耐用年数
詳しくはこちらのページからご覧ください。 塗膜/アスファルト/シート、3種類の防水工法
ベランダからの雨漏り
外壁にも屋上と同じように、紫外線や雨風による劣化からコンクリートにひび割れが生じ、そこから雨水が浸透します。マンションの構造上、上階のベランダの下に部屋がある場合、上階のベランダに降り込んだ雨が外壁に浸透し、下の階の雨漏りに繋がることがあります。
特に、給湯器が設置されているベランダでは、給湯管と外壁の間の隙間からも、雨水が浸透する恐れがあります。 このような場合、早期に発見すれば隙間をパテで埋めるなど、部分的な修理で対処できます。
ただ、屋上と同じようにヒビを放置していると大きな被害に繋がってしまいます。 屋上からの雨漏りも上階のベランダからの雨漏りも同じですが、雨漏りの被害は雨漏りをした部屋だけでは済まないことがあります。
雨漏りによるコンクリートの劣化がコンクリートで守っている鉄骨部分にまで及ぶと、建物全体の耐久性に悪影響を及ぼすからです。最悪の場合、耐震性が低下するという事態になることも考えられます。
マンションで雨漏りが発生した際の対処と発生させない為の対策
個人の過失による水漏れ事故とは違い、屋上や外壁からの雨漏りは賃貸マンションならマンションの所有者、分譲マンションなら管理組合に修理や損害賠償の責任があります。被害が大きくなればなるほど、修理費用も損害賠償額も大きくなってしまいます。
また、建物全体の耐久性を低下させるという根本的な問題に繋がることもあります。 ネットにある質問箱に、中古の分譲マンションを購入された方から雨漏りの修理に関する質問がありました。
「何度も雨漏りをしていて、天井がブヨブヨになっている。その都度、天井の修理だけでマンションの屋上のメンテナンスがされていないがどうしたら良いのか?」という相談です。
このような状態は非常に危険です。マンション全体の資産価値が下がるだけではなく、大型台風や大地震が発生した際に、大きな被害に繋がる事態にならないとも限りません。 しかも、分譲マンションの場合、実際に雨漏りが発生してしまってから、マンションの積立金で修理をするということになると、被害を受けた部屋の住民と、被害の出なかった住民との間に温度差が生まれてしまうことがあります。
その結果、スムーズに修理が進まず、より劣化が進むという悪循環になってしまうかもしれません。 賃貸マンションを所有している人や、分譲マンション管理組合の役員をしている人は、雨漏り事故を起こさないようにすること大切です。雨漏りが発生しなければ、そのような事態を防げます。
防水工事の種類に応じたメンテナンスをすることを基本に、屋上や外壁の劣化の兆候を見逃がさない、不安があれば専門家に水漏れ調査を依頼するなど、雨漏りを発生させないための対策が重要です。
こちらのページから危険サインを発見できます。あなたにもできる! 防水診断チェック
劣化が認められる個所があった場合には、信頼できる業者、国家資格を持った技師に調査を依頼することが大切です。調査の結果と現在の防水層との相性を考え併せた上で、最適な時期に最適な方法で防水改修工事を進めていくことができます。
私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。無料調査の内容はこちらからご確認頂けます。 防水層改修調査のご依頼を承ります
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関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
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