マンション・ビルの“大規模修繕工事” 周期はどのくらい?目安期間から費用まで解説
マンションやビルの維持には欠かせない「大規模修繕工事」ですが、様々な資料を見ても果たしてどのくらいの間隔で行えば良いか、明確な答えは分かりません。
また、どのぐらいの費用を用意すればいいかと不安を抱えている方も多いはずです。
そこで、今回は「大規模修繕工事」の適切な施工時期や費用について、詳しく解説します。
建物を少しでも長持ちさせたいという方は、ぜひ参考にしてください。
●建物診断を定期的に実施し、適切な時期に・適切な工事を行うことが重要です。
●関防協は、防水のエキスパート集団です。大規模修繕をご検討中の方は、私たちまでご相談ください。
Contents
“大規模修繕工事”は建物運営における最重要事項
「大規模修繕工事」は、戸建住宅の外装メンテナンスとは異なり、まとまった費用を要するため、どうしても先送りにしてしまうオーナー様は少なくありません。
しかし、放置し続けてしまうと最初は軽微な劣化であっても、後々構造体にまで影響を及ぼす可能性もあります。
では、具体的に「大規模修繕工事」とはどのようなことを行うのでしょうか?
- 防水工事(屋上・ベランダなど)
- 外壁補修工事(タイルやモルタルの補修、塗装)
- 付帯塗装工事(各金属部分の塗装など)
- その他工事(給排水管や電気配線の更新など)
これらの工事を“適切な時期”に行うことで、建物を健全な状態に保つことができるのです。
しかし、一般の方ではその“適切な時期”を見極めることは難しく、日当たりなどの立地条件や使用状況によって大きく異なります。
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関東防水管理事業協同組合|コラム|「大規模修繕工事」ってどんなことをするの?工事内容から業者選びのポイントまで詳しく解説
大規模修繕工事の周期は?
では、“適切な時期”の目安はどのくらいなのでしょうか?
実は、国土交通省の作成した大規模修繕工事に関するガイドラインによると、適切な工事周期は12〜15年とされています。
(参考:国土交通省|第3編 長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント)
しかし、これはあくまでも一般的な目安に過ぎず、必ずしもガイドラインに従わなくてはいけないという訳ではありません。
一般的に、大規模修繕工事の周期を伸ばすためには、主に以下の条件を満たす必要があります。
- 大規模修繕を定期的に行う
- 耐候性の高い外装材や塗装材、防水材を使う
- 躯体にまで及ぶクラック(ひび割れ)をしっかり補修する
ですから、大規模修繕工事の際にどのような工事を行うかによっても、適切な工事周期や建物の寿命は変わります。
〈関連コラム〉
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国土交通省ガイドラインの令和3年改訂内容を参考にするのもおすすめ
先ほどもお話しした通り、大規模修繕工事の施工時期を考える上で、国土交通省のガイドラインを参考にするのも一つの方法です。
実は、2021(令和3)年にこのガイドラインが改正されました。
その理由は、今までの内容と現状が乖離してきたためです。
今回の改正では、より現在の時流を踏まえて具体的な内容が盛り込まれました。
〈改正前〉
既存建物については、修繕積立金の運用や長期的な修繕内容を明確にすることが目的の「長期修繕計画表」の作成推奨期間を、25年間以上とする。
〈改正後〉
既存建物のサスティナブル(持続可能)化を進めるため、「長期修繕計画表」の作成推奨期間を新築マンションと同様の30年以上に延長。
〈改正前〉
新築マンションの修繕積立費設定の参考となる㎡単価を設定し、工事事例を踏まえた修繕周期を明示。
〈改正後〉
適切な長期修繕計画に基づく修繕積立金の事例を踏まえ、目安とする修繕積立金の㎡単価を更新。ターゲットを新築に限らず既存マンションも追加して、修繕積立金額の目安に係る計算式を見直し。
〈改正前〉
(省エネ工事やバリアフリー工事に特化した記載はない)
〈改正後〉
社会的要請を含めた修繕工事内容を追記(省エネ工事はバリアフリー工事など)
(参考:国土交通省|「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて)
このガイドラインをベースに、マンションごとの環境や事情に合わせた長期修繕計画を作成し、それを確実に実行できる修繕積立費の金額設定をすることこそ、今後の長期的な建物運営に必要です。
修繕工事周期については、定期的な建物検査を行ない、現状に合わせてフレキシブルに工事計画を立てることも重要なポイントと言えるでしょう。
マンション“大規模修繕工事”の実態は?費用はどのくらい?
建物の大規模修繕工事を検討する上で、多くの方が気になるのが「費用」です。
「一体いくらかかるのか?どれぐらいを想定しておけばいいのか?」不安に感じる方も多いでしょう。
しかし、残念ながら建物の築年数・立地条件・現在の仕様・構造種別などの要素によって、その金額は大きく異なります。
ただし、全く参考資料がないという訳ではありません。
令和3年度に国土交通省が全国のマンション大規模修繕工事設計コンサルタント会社や施工会社を対象としたアンケート調査を行った結果、マンションにおける大規模修繕工事費用は以下のような金額となっています。
規模や世帯数にもよりますが、6000万円〜1億5000万円かかっている事例が56.1%と半数以上を占めているのが分かります。
では、実際にはどれほどの費用を見越して準備を進めていけば良いのでしょうか?
同アンケート調査によると、以下のような興味深い結果が出ています。
ちなみに、同アンケートの大規模修繕工事回数と修繕周期のデータを見てみるとをみると、平均修繕周期は1回目が15.6年、2回目が14.0年、3回目が12.9年と、回数が増えるほど周期が短くなっていると言う結果が出ています。
ここで抑えておかなくてはいけないポイントが、「経年に伴い工事周期が短くなってもかかる費用はそれほど変わらない」という点です。
短周期で工事をしても、築年数が古くなれば毎回同じくらいの金額がかかってしまうケースが多いのです。
これらの数値はあくまでもアンケート調査によるものであって、必ずしも全ての物件に当てはまる訳ではありませんが、一つの参考資料としては有効でしょう。
大事なのは、「こまめに建物調査を行なって現状を把握し、適切な時期に劣化度合いに合わせた工事を行う」ということ。
また、本質を確実に理解するために、複数社に相談してみるのもおすすめします。
私たち“関防協(関東防水管理事業協同組合)”のHPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。
気になる方は、ぜひご利用ください。
鉄筋コンクリート造の長寿命化には「リバンプ工法」がおすすめ
鉄筋コンクリート造の建物を長持ちさせるために必要なのは、ずばりプロによる定期的な建物調査です。
劣化を見つけてから処置をしては手遅れになる場合が多いため、劣化箇所を見つけ次第適切な改修をしなくてはなりません。
そこでおすすめな改修方法が、「リバンプ工法」です。
本工法は、不動態皮膜の再生機能を有する亜硝酸イオンを、いかに有効に効果を発現させるかを主眼としたものであり、リチウムイオンと組み合わせた「亜硝酸リチウム」として高い保水性を持たせ、コンクリート内でも乾燥固化せず浸透拡散を効率化した設計となっております。また、細孔を緻密化させると共に水分で満たすことによる劣化因子の高い遮蔽効果を有します。リチウムイオンはアルカリ骨材反応の抑制効果も有します。
引用:田島ルーフィング|躯体改修|リバンプ工法の効能
リバンプ工法は、現状の劣化度合いや立地条件に応じた躯体補修工法と適切な表面保護工法を組み合わせて建物を長寿命化させることができます。
建物を「中性化」や「塩害」から守るためにも、ぜひこのリバンプ工法を検討してみましょう。
〈関連ページ〉
田島ルーフィング|躯体改修|リバンプ工法の効能
〈関連コラム〉
関東防水管理事業協同組合|コラム|鉄筋コンクリート造のマンション・テナントビルは改修できる?長寿命化に向けたポイントとは?
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社や工法を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご連絡ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
まとめ|大規模修繕工事は「適切な時期に」「定期的に」
大規模修繕工事は、とりあえず繰り返せばいいという訳ではありません。
インターネットなどから得た情報通りに杓子定規に繰り返しても、コストが無駄になってしまいます。
大切なのは、専門家に建物診断をしてもらい、「適切な時期に」かつ「定期的に」大規模修繕工事を行うことです。
そのためには、計画的な修繕費の積み立ても重要ですし、いざという時に頼れる施工会社を見つけておくことも欠かせません。
私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。
「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。
都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。